死んだはずの男の影 １ ページ17
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「お月様がきれいな晩のことです。月の欠け方からして……４日ぐらい前だったかな。どういうわけだかボクは、港を歩いていました。深夜ラジオの放送は横浜のローカルだったので、湾内のどこか、深夜２時ぐらいを歩いていたんだと思います。
あんまりに良いお月様だったので、すぐに帰らずに眺めていると。『今夜はよい月じゃ』と背の高い、ボロの着物を着た老人が声をかけてきました」
――背の高い、老人？ 今は話を聞かなければならないが、聞き捨てならない単語が出た。先生を横目で伺うと、鋭い目で発言を止められる。
「その瞬間、真っ黒い鎖が山ほど視えて。ひどく気分が悪くなり、頭を押さえてうずくまっていたら……気が付けばボクは、精神病院の病床に寝かされていたのです。ボクの頭痛とおじいさんの関係は分からないけれど。すごく不気味だったなぁ……。
それで。代わる代わる、いろいろな人がお見舞いに来てくれたのですが。彼らが何者なのかはおろか、ボクが何者であるかさえ思い出せなくなっていました。
鏡を見ても、銀の髪に赤い目。どこをケガしたのか包帯まで巻いてあるし……全く見覚えのない他人を見ているかのようでした」
「その背の高い男は？ どのような容姿だった」
話の最後に先生が尋ねる。青年は静かに「白い髪の、妙な手袋をしたおじいさんでしたが」と答えた。
間違いない。――京極夏彦だ。
彼は京極と何らかの接点を持ち、そして憑き物によって記憶をいじられた可能性が高い。
「……なるほどな。奴はまだ、生きていたか。やはりな」
死体が発見されていない、後の事件でも京極が手綱を握っている可能性がある証拠が出てきた。そんな主張を繰り返してきた綾辻先生にとって、この証拠は喉から手が出るほど待ち望んでいたものに違いない。
今、私は、青年を手配している軍警につきだすべきなのか、ここでかくまうべきなのか。選択を迫られている。本来ならつきだすべきだけれど、綾辻先生の様子では、青年から話を聞き終わるまでは開放するわけにはいかないだろう。私と先生は目くばせをして、彼から京極の話を引き出すべく質問を整理していたのだが。
「――あなたたちが知りたいことって、本当は何なのです」
京極にすべての話題を持っていかれることはなかった。
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アバンギャルド・マボ(プロフ) - てんてくさん» 安室さんのファンの方ですか？！細かいところまで読んでくださってありがとうございます〜。警察庁と警視庁の違いについて勉強になりました！ 現実では法務省ですが原作では司法省だったりする世界なので、心の目で読んでください〜( ´ ▽ ` ) (2021年4月27日 18時) (
レス) id: 253e5eff26 (このIDを非表示/違反報告)
てんてく - ページ18についてなのですが……警視庁ではなく警察庁では…？公安は一応警察庁警備局警備企画課なので……間違えていたらすみません<(_ _)> (2021年4月27日 9時) (レス) id: 0e2cae39fb (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - あれまー(^_^;)。これまた、ゲキヤバ(;゜0゜)。余談、足立さん以外とドジですねー笑(^^)。 (2020年2月17日 19時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - アバンギャルド・マボさん» 足立さんマフィア、やめるってよが、良い小説でしたので、こちらも、読ませていただきます♪♪。読む前から、楽しみ♪♪です〜笑(^^) (2020年2月16日 13時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
アバンギャルド・マボ(プロフ) - かなとさん» シャークトパス…サメ＋タコという驚異的な発想の元生まれたアメリカ映画です。頭のどこかが宇宙的な攻撃を受け、SUNチェック入ること請け合いですがぜひご覧ください！ (ストーリーの核心に触れることに反応できなくてごめんなさい) (2016年9月17日 15時) (レス) id: ee9a5e5139 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アバンギャルド・マボ | 作成日時：2016年9月5日 23時
