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瓶詰めの地獄《参》 ページ18

「ならば軍師をたたくまでのこと。中也さん。敵の根城は」

「判ってたら俺がとっくに殺してる。…まぁ。おおよその見当はついてるがな」


 中也は目を細めて云った。


「太宰の不在。ミミックとの抗争による疲弊。……これ二つの被害状況を理解してる奴じゃねえと、まずQの地下牢破壊なんざおもいつく筈がねぇ。ボス猿はそういう諸々をわかってる鬼畜だ」


芥川は頷いた。敵は確実に太宰の異能、無効化能力の存在価値を理解している。だからこそ効果的にマフィア内部の崩壊を誘発できる策・夢野久作の解放に踏み切ったのだ。


普段なら厳重警戒態勢におかれる地下牢にも、易々と侵入できるこの状況——ミミックとの抗争後を狙って。


「芥川。お前はどんな奴が犯人だと思ってる」

「内部関係者だったもの。あるいはマフィアを出て行き、裏切った者」

「そうか。……その様子じゃ、手前もアイツを思い浮かべてやがるな?」
 

芥川の脳裏に浮かんだ名前は、ただ一つだった。


「太宰、治」


感情を押さえ込むのに必死で、中也の呼びかけに返事が出ない。


中也は強く芥川の腕をつかんだ。それから云った。


「手前は、今回の作戦に参加するな」


その一時だけは、真剣な中也の声だけが篭った廊下に響いた。芥川はしかられているような心地になる。


「勘違いするな。お前の力を疑ってる訳じゃねえ」


芥川の手を掴む力が、弱まる。


「ならば何故、」


と言いかけて顔を上げると、中也は困ったような、泣き出す寸前のような笑みをくしゃりと浮かべている。


「これ以上俺の心配事を増やすんじゃねえよ」

「心配事、」

「手前まで、過去を追うな。……そういうのは足立だけで十分だ」

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アバンギャルド・マボ(プロフ) - PVの方も見てくださってありがとうございます!!!いつか未来分岐のあるノベルゲーム版を書いていきたいと思っておりますので、その時は是非プレイしてやってください!! 遂行する前から読んでくださってありがとうございます…コメントめちゃくちゃ嬉しかったです… (2019年8月29日 13時) (レス) id: f747016130 (このIDを非表示/違反報告)
アバンギャルド・マボ(プロフ) - 読み込んでくださってありがとうございます(;_;) 台詞に言及してくださるのが嬉しすぎて…。 細かいことは気にしないを地で行く姿が伝わっていることが大変嬉しい!!ずるいぞお前って言いたくなるタイミングで男前を発揮する芥川が表現できててよかった!!! (2019年8月29日 13時) (レス) id: f747016130 (このIDを非表示/違反報告)
よしな。(プロフ) - あと、PV観ました。何あれすっごいですね!!音楽のセンスと文章ぴったりです!老爺ってまさか……子どもたちってまさか……と思いながら観てました笑。推敲する前から足立シリーズ好きなんですが、もっと好きになりました。 (2019年8月28日 12時) (レス) id: 97ebc294fb (このIDを非表示/違反報告)
よしな。(プロフ) - 不断の糸の芥川が好きすぎる。「どんな人生を歩んできたかなんて過去でしかない」って言えるのは君だけだよ……「文章だけで何を理解できる」か。これから大切なのは今であり未来だと言われてるみたいで。だからこのコンビは好きなんだ。 (2019年8月28日 12時) (レス) id: 97ebc294fb (このIDを非表示/違反報告)
アバンギャルド・マボ(プロフ) - わあああいつも有難う御座います!!この作品は初めて自分がシリアスに着手したやつなので、一番好きだといっていただける方がいるのが最高にうれしいです・・・これからもお付き合いください!!! (2019年7月28日 22時) (レス) id: 940de82038 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アバンギャルド・マボ | 作成日時:2016年10月22日 0時

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