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菩提樹下の逍遥《下》 ページ26

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ポートマフィアとして築き上げた拠点の全てが、少年の目下にある。その中心にそびえ立つ菩提樹に両手を重ねた。

刀を持つための腕と、子供を守る腕。
彼の中で仏と鬼が一つに合わさった。


「なあ芥川。遊撃も諜報も、いつ死ぬかもわからない仕事だろ」

隠密と破壊。それぞれ異なる才を授けられた以上、同じ場所で戦うことはない。

それでも自分ができることは何か、足立はひとつの答えを出していた。


「手紙を送り合わないか?」

「遺るものがあっても良いことなど何もないように思うがな」


取りつく島もないなら、島は作れ。それが少年の持論だ。

「(すまん芥川。ゆるせよ)」

心の中で謝りながら、足立は悲観に駆られていた頃の自分を思い浮かべる。

悲しそうではない、悲しみの中で溺れている、か弱い子供の声を出した。


「でもそれがあったら、努力できると思うんだよ。お互いの遺書にならないようにって」

手柄を立てること以外に生きる意味を見出せなくなれば、死も厭わず戦場に駆りたって行くだろう。


「手紙一つで、お前は死に損なうか。単純だな」


そんな芥川を現世に留めて置けるのは、「自分」というあやふやな気がかりだ。と足立は心の奥で笑っていた。


「お前もちゃんと死に損なえよ」


これからすぐに送った手紙が、4年後に時限爆弾となって破裂するとも知らずに…。






これが後に遊撃隊と諜報部隊、それぞれの長として立つ二人の少年が、分かたぬ友情を結んだ事件の始終である。

精神規律の柱である白の狛狗と
圧倒的な暴力価値を誇る黒の禍狗は、

正反対に立つ者同士でありながら、無類の朋友として互いの窮地を救っていくことになる。


それぞれが長として並び立つ日を迎えた時も、二人の声は、菩提樹の下で響いていた。





 

※→←菩提樹下の逍遥《上》



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設定タグ:文スト , 芥川龍之介 , 文豪ストレイドッグス   
作品ジャンル:ミステリー
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アバンギャルド・マボ(プロフ) - 飛沫さん» ご読了ありがとうございます!!!書いて良かったです!!!!いつも応援のメッセージやイラストをありがとうございました(;_;)完結までの糧になりました!これからも創作活動をやっていこうと思える応援の数々をありがとうございました!!! (2020年6月27日 10時) (レス) id: 253e5eff26 (このIDを非表示/違反報告)
飛沫(プロフ) - 完結おめでとうございます! テストのせいで読むの遅れてしまいました。足立くんの切実な心を見れて嬉しかったですし、凄く感動しました!おつかれでした!! (2020年6月27日 7時) (レス) id: 5cd376c69b (このIDを非表示/違反報告)
アバンギャルド・マボ(プロフ) - よしな。さん» 最後まで読んでくださってありがとうございました!!!!闇堕ちする過程のお話なのでふざけることなくここまできてしまいましたが、シリアスでも最後までお付き合いくださったのがマジでありがたいです!書いてよかった!!!ありがとうございました!!! (2020年6月23日 23時) (レス) id: 253e5eff26 (このIDを非表示/違反報告)
よしな。(プロフ) - 好きです……!闇堕ちして暗殺業で生きていく決意をした足立くんを見たときは泣きそうになりましたが、茨の道を進んでも彼はなんとか生きてほしい。やっぱりこのシリーズ凄く好きです。 (2020年6月22日 22時) (レス) id: 97ebc294fb (このIDを非表示/違反報告)
アバンギャルド・マボ(プロフ) - 操咲作乃さん» こんにちは!元気です!!!コメントありがとうございます!!コントもシリアスも頑張って書いていきますので、おつきあいください笑笑笑笑 (2020年5月12日 15時) (レス) id: b5b4ae2a61 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アバンギャルド・マボ | 作成日時:2020年5月10日 17時

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