九死に一生を得る【シノ】 ページ31
ぼくは急いでいた。
チフユが、またバトルをふっかけようとしているのを見かけたから…というのもあるけれど、それより生徒会役員…名前はわすれてしまった…に追いかけられていることが、ぼくを急かした。
ぼくは何にもしてないのに！
……たぶん。
でもまぁ、持久力においてぼくが彼女に負けることはない。
仮にも体力入学、体力には人一倍自信がある。
でも、ぼくは彼女程この学校に詳しくない。
二年生になっても、意外と間取りは覚えられていないものだ。
…つまりは、追い詰められた。
向き合う彼女は随分と疲れ、呆れた様子でぼくを見ている。
右手には、ぼくが落としたに違いない薬瓶を持っていた。
「な、何の用!?ぼく何にもしてないよ！……そ、その薬の中身は見てないよね!?べつに怪しいものじゃないけどっ!!」
「……ねえ、これあんたのだよね？…って、うん。生徒会員だけど…あ、中身見てないよ」
ぼくたちは、ほとんど同時に喋った。
彼女の方が、口を開くのは少し遅かったかもしれないけれど、そんなことはこの際関係ない。
「…あれ、いつも一緒にいるのは？チフユだよね？どこ？」
その声は、あくまでも平然としていて、けして咎めるようなものじゃないことは、重々承知している。
それでも、目の前の人物が生徒会役員であるということは、ぼくにかなりの恐怖を与えた。
「あ、あっち！バトルフィールド！ほら、そこ!!」
震えながら、窓の外を指す。
眉をひそめながら、彼女は外へ顔を向けた。
チフユの姿を確認したのか、その眉がピンと跳ねた。
「……これ返すから、呼んできてくれるよね」
右手の薬瓶をぐいとぼくに押し付け、身を翻す。
「昇降口であの子たちと待ってるから」
「う……うん…」
なんとか言葉を返して、ぼくはチフユの元へ走りに走った。
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「チィフゥゥゥユゥゥ！」
「あ、シノじゃん。どうしたの？そんなに慌てて」
「生徒会役員が呼んでるんだって！ほら、金髪の!!」
「キユイ？うーん…怒られるようなことしたっけな？」
チフユは呑気に首を傾け、これまでの自分の行いを回想している。
そんなことしてる暇じゃないんだってぇ！
「とにかく、来て！」
「ちょっ…私今からこの子とバトルを！」
「また今度したら良いでしょ!?ぼくとバトルどっちが大事!?」
「バトル」
「即答かよ！てか失礼極まりない回答を平気でするな!!」
そうして、ピーチクパーチク小鳥のように喧嘩しながら、ぼくたちは昇降口へ向かった。
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褪紅(プロフ) - 更新しました！ (2021年12月7日 22時) (
レス) id: dacdd01a78 (このIDを非表示/違反報告)
褪紅(プロフ) - お久しぶりです、ハスミとキユイとノウメ、三キャラの親の春雨、もとい褪紅です。更新させていただきます。 (2021年12月7日 20時) (レス) id: dacdd01a78 (このIDを非表示/違反報告)
蝶理(プロフ) - 更新しました (2020年12月26日 9時) (レス) id: 285c3fb40d (このIDを非表示/違反報告)
蝶理(プロフ) - 更新しますね！ (2020年12月26日 9時) (レス) id: 285c3fb40d (このIDを非表示/違反報告)
蝶理(プロフ) - 忙しくてリレー小説に参加出来ませんでしたが、余裕が出てきたので参加させてせて頂くことになりました。レイの親の蝶理です。よろしくお願いします！ (2020年12月26日 9時) (レス) id: 285c3fb40d (このIDを非表示/違反報告)
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