そういうもの【シノ】 ページ22
「たまにはいいこと言うじゃ〜ん」
体育館から出た先に、緑髪を見出す。
チフユだ。
ニマニマ笑いながら、ツンツン小突いてきて……ちょっとウザい。
「シノってさ、普段は発狂してるだけの舞台バカだけど、たまのたまーに良い奴だよね。本当にたまにだけど」
「シンプルに良い奴だって言いなよ…」
念を押すように何回も“たまに”と言ってくるのが、頭にくるが、ぼくたちはいつもこんなだ。
「だって、いっつも引きずるし」
「それはチフユがすぐにバトルふっかけるから」
「発狂するし」
「ぼくは繊細なの」
「そのくせ舞台に立つと人が変わるし」
「まぁね」
「……そこは否定するところでしょ！謙虚になろうよ！」
「そう簡単に誘導されないからね!?ハメる気ならもっと単純な子にして」
んべ、と舌を出すとチフユがむー！と叫びながら、ぺちぺち叩いてきた。
……地味に痛い。
「ちょっ、叩くのやめ！暴力反対ぃぃぃぃ!!」
「えっ…？これが痛いの？大丈夫？貧弱すぎない？」
チフユが拍子抜けしたような表情で、首をかしげてくる。
いや、何その顔やめて？
「食べてる？痛覚過敏すぎじゃない？真面目に大丈夫？」
「う…べ、べつに平気だし！痛くないし！この程度あと千回は余裕だし!?」
そう反論すると、チフユはニンマリと笑い。
「やっぱり平気なんでしょ？」
ふふん、と煽るように言い放った。
「……あ、まさか…」
その意地悪い笑みから、もしかして、チフユはこれさえも見越していたんじゃないかという疑問が浮上する。
チフユは、作戦というものに関する発想力においては日常でもバトルでも、天才的な能力を持っている。
「そ！これも私の作戦の内！本当にシノって単純だね〜」
ヘラヘラ笑うチフユをにらみながら、
「うぐ…チフユはぼくを何だと思ってるの……？」
というと
「
そう返された。
「…人間として認識されてない……」
「じゃあ、さ。シノは私のこと何だと思ってるの？」
疑うように顔をしかめて聞いてくる。
「…バトル狂」
「ほうら、シノだって、私のことまともな人間だと思ってないじゃん！」
「だ……だってさあ」
気まずさに抵抗すると
「そういうモノなんだよ。私たちの関係は。だから諦めなよ？私がこの先シノのことをまともな人間として見ることはないし、シノだってそうでしょ？」
無駄に理路整然とした言葉に言いくるめられ、ぼくは口をつぐんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 26人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ポケットモンスター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
褪紅(プロフ) - 更新しました！ (2021年12月7日 22時) (
レス) id: dacdd01a78 (このIDを非表示/違反報告)
褪紅(プロフ) - お久しぶりです、ハスミとキユイとノウメ、三キャラの親の春雨、もとい褪紅です。更新させていただきます。 (2021年12月7日 20時) (レス) id: dacdd01a78 (このIDを非表示/違反報告)
蝶理(プロフ) - 更新しました (2020年12月26日 9時) (レス) id: 285c3fb40d (このIDを非表示/違反報告)
蝶理(プロフ) - 更新しますね！ (2020年12月26日 9時) (レス) id: 285c3fb40d (このIDを非表示/違反報告)
蝶理(プロフ) - 忙しくてリレー小説に参加出来ませんでしたが、余裕が出てきたので参加させてせて頂くことになりました。レイの親の蝶理です。よろしくお願いします！ (2020年12月26日 9時) (レス) id: 285c3fb40d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
