死の罠−26 ページ34
｢『今回の事件は、全てミー、六道フランが単独で行ったものです。
ミーは他人の運命を、己の手で取り返しのつかない形へ変える事に、密かな愉しみを味わっていました。
今回の事件も、その欲望を満たす為に起こしたものです。
でも、拉致した先輩達全てを殺し、海外へ逃亡するという計画が砕かれた以上、もはや、司法の手を逃れる事は不可能でしょう。
捉えられ、生恥を晒すくらいなら、死を以って、我が罪を贖いたいです。
六道フラン』｣
読み終わったベル君は、長い長い溜息を吐いた。
｢フラン君が犯人だったなんて……。
さっきの銃声は、この遺書を書き終わって、自 殺した音なのかな｣
｢どーだか。あんなにご執心だった割に、ジルについて触れられてねーし｣
｢これで下山出来れば、俺、明日の試合に出られるのかぁ？｣
｢ああ、もう。君はどうしてそれしか頭に無いのさ、スクアーロ。
ベルの言う事もあるけど、この遺書がフラン本人に書かれた物だって証拠が何処にも無いのも、怪しいだろ？｣
｢だが、犯人はもう手ぇ出さないって事だろぉ？｣
｢下山出来るならば、早くボスを病院へ！
体調不良になってしまったら、ボスがテニスを楽しめなくなる！｣
拳を瞳の前で握り、力んでいるレヴィ先生を無視して、ザンザス君は不機嫌そうに大きく舌打ちをした。
｢納得の行かねぇ所は多々あるが、此処は警察に任せるべきだな｣
｢ま、待ってよ、ボス。僕はまだ探索したいよ｣
｢なら聞くが、お前はその体で何が出来るんだ？｣
鋭い瞳を向けられ、マーモン先輩は口を閉じた。
ザンザス君の威圧もあるだろうけれど、自分の体では探索が難しいと、自覚しているようだ。
マーモン先輩は、隠れている顔をさらにフードで隠した。
その様子に鼻を鳴らしたザンザス君は、今度はディーノさんに視線を向けた。
｢おい、跳ね馬。バイクを置いた場所まで戻り、ふもとの警察に知らせて来い｣
｢勿論だぜ｣
｢ディーノさん、気を付けて行って下さいね｣
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作者名：ポアンナ | 作成日時：2018年3月17日 13時
