死の罠−４ ページ12
ベル君がザンザス君の頬に手を当てた。
｢お、おい、大丈夫か？｣
｢あ、ああ｣
か細い声が響いた。
白い霜の下りた睫毛がゆっくりと開かれ、また閉じられる。
ダメージは深そうだが、生きていてくれたのだ。
ベル君と瞳を交わし、ぐったりしたザンザス君を冷凍庫から運び出した。
本当は保健室のストーブで温めたかった処だが、給食室にはまだ鍵が掛かっている以上、此処で出来る事をするしか無い。
私達は上着を脱いで、テーブルに凭れさせたザンザス君に掛け、冷たい手足を手の平で擦った。
暫くそうしていると、ピクリと青白い瞼が動いた。
｢チッ。まさか、ドカスに助けられるとはな｣
ザンザス君は立ち上がろうとするが、やはり果たせず、上半身はぐらりと傾く。
｢ボス、あんま無理すんなよ｣
｢馬鹿言うんじゃ、ねぇ。
これくらいで、くたばってたまるか｣
口ではそう言うものの、震える手足と虚ろな紅い瞳は、全くもって大丈夫では無さそうだ。
｢早く、もっとちゃんと温めてあげないと｣
｢この手詰まり感、耐えらんねーぜ｣
――キーンコーンカーンコーン。
焦る私達の耳にチャイムが響いた。
と同時に、扉の方からガチャリ、と鍵の回る音がした。
｢何だよ、一体。
もしかして、また誰かが殺されかけようとしてんのか？
アイツの言ってた順番じゃ、次はレヴィだよな｣
｢それとも、扉を開けた場所で待ってて、出て来た私達を殺そうって事？｣
｢分かんねぇ。でも、あの扉を潜んなきゃ何処にも行けねーだろ。
それに、ボスをもう少し温かい場所に運ばねーと｣
｢取り敢えず、職員室とかかな？ ディーノさんもいるし｣
｢そうだな。
行くぜ、ボス。辛いのは分かるけど、でっけーボスを俺達で運ぶのは無理だかんな。
出来るだけ自分の足で歩いてくれよ｣
ベル君はザンザス君に声を掛け、その腕を肩に担いだ。
ザンザス君は嫌々そうではあったが、ベル君の肩に腕を回す。
私もザンザス君を支えながら、職員室へ戻った。
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作者名：ポアンナ | 作成日時：2018年3月17日 13時
