C eighty-six ページ47
｢来客？｣
グルッペンが、その口にひょっとチョコを放りながら首を傾げる。
｢食堂、凄い忙しそうやったで。『急なお客さんが来はって食堂で昼食を召し上がるから、急ぎで10人前のランチを作ってくれと総統様が』って、調理師のおばちゃんが言うとってん。｣
｢あぁ。何しろ、俺も今日とは知らなかったからな。オスマンに昨日の夜言われたんだ。｣
｢そっそ。チェスしとる時に…ね。｣
頷くグルッペンとオスマンに再び溜息をつく。
｢お前…もてなすってことは、国賓として扱わなあかんのやろ？｣
｢いや、そんな待遇は要らん。待ってるだけでいい。｣
｢そういう訳にも…。｣
トントンはそう言いながら、目の前の2人が変に楽しそうなことに気付いた。
｢…何やお前ら、そんなにそのお茶美味いんか？｣
｢美味いぞ。今飲んだってだけで美味い気がする。｣
｢そうやねぇ。｣
2人してふっと微笑む。空気の分からないトントンは戸惑うばかりであったが、オスマンの言葉にハッとした。
｢あの戦争から、もう1年半やで。｣
｢…何でそれを、こんな時に。｣
あのスライブ国戦争から、既に一年半の月日が流れていた。国への被害はなかったため、フューラー帝国にはすぐにこれまでの生活が訪れたが、幹部らはまだ見つからない同志の事を考え、それぞれに思いを巡らせていた。
トントンが俯き、握りしめた拳を見ていると、グルッペンが愉快そうに笑った。
｢お前もまだ、後悔してんのか？｣
｢…するに決まっとるやろ。まだ何か、あいつらを置いて行かんでも出来ることは無かったんかな。｣
グルッペンは可愛らしい箱からまたチョコを1粒取りだし、カリンッと1口食べながら言う。
｢お前らの話からすれば、選択肢はなかっただろう。あいつらやって脳はある。最後の砦で、相手にそんな簡単に策を練らせはしない。｣
｢でも…。｣
｢それに、言うたやろ？｣
グルッペンが笑う。
｢待ってるだけでいいってな。｣
バァン！
その瞬間、書斎机の後ろにあった巨大な窓が勢いよく開き、太陽の光と朝の少し冷たい空気、そして2つの細い影が入ってきた。
｢…！｣
ゴォッと風が吹き、書類や花弁が日光に輝きながら舞う。その光に目が眩んでも、トントンはただその影を見つめることしか出来なかった。マントを被った2人組は窓枠から地面に着地すると、徐ろにそのフードを脱いでー。
｢あー、やっと帰って来れたわ！｣
｢いやー、またお邪魔します。｣
｢ゾム！？ぴくとさん！？｣
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壱(プロフ) - 初コメです この作品ずっと見てます！！大好きです！ 神作品ありがとうございます！ (2022年1月14日 10時) (
レス) id: 135ae75002 (このIDを非表示/違反報告)
ぽいぽい(プロフ) - 紫陽花さん» 読んでくださってありがとうございます！お客様が神様の精神でやっております^ ^いずれにしても、嬉しいお言葉ありがとうございます！ (2019年10月23日 20時) (レス) id: 05af6d92c8 (このIDを非表示/違反報告)
紫陽花 - 最近読んだんですけど神ですかね？神ですよね！本当に好きです！ (2019年10月23日 19時) (レス) id: d538ff0020 (このIDを非表示/違反報告)
ぽいぽい(プロフ) - 鈴蓮さん» おぅっ！？鈴蓮さんありがとうございます！まさか読まれているとは…くそ長い作品にお付き合い頂き、本当にありがとうございます！ (2019年10月16日 12時) (レス) id: 05af6d92c8 (このIDを非表示/違反報告)
鈴蓮(プロフ) - 完結おめでとうございます！(*´∇｀*) (2019年10月16日 12時) (レス) id: 4a95fce3d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽいぽい | 作成日時：2019年7月27日 20時
