C seventy-four ページ35
若干口数の減った幹部らは、それでもそれまでと同じようにエレベーターに案内され、その目の前で立ち尽くしていた。
｢…ファイナルステージ、やぞ。｣
｢そうやな。｣
｢ここまで来たら、もう行くしかないよ。｣
｢…それに、身体的に訓練された人間はもう居ないはずです。あとは扱いに気を付けるのみ…。｣
そうは言いながら、足が進まない。そんな仲間の様子を見て、ゾムが1歩リードする。
｢…よし、行くで。｣
《ゾム！！一旦待って！！！》
｢うぉっ！？｣
突然のロボロの大声に、エレベーターのボタンを押そうとしていたゾムが驚き止まる。耳の奥がキーンと鳴った。
《びびった…。何なんロボロ？》
《ご、ごめん…。次の階層のカメラは全部壊れとるけど、今の階のカメラを利用出来ひんかなって思ってさ、今色々しとってん。》
成程、とトントンが頷いていると、ロボロはゾムに、その頭上にある1台のカメラを示した。
《それをハッキングした。壁から切り離しても、一定の時間は電池の余韻がある筈やから、それを取り外してエレベーター乗せて下の階に送られへん？》
｢成程ね…そうすれば、初動の動きだけでも伺えるってわけか。｣
ひとらんらんがマスクを押さえながら頷く。ぴくとが能力で脚立に変化した。
｢おおー！ぴくとさんやっぱそれ凄いな。｣
｢え、乗ってええ？｣
｢どうぞー。｣
ゾムがひょいっと脚立に飛び乗り、壁に設置された監視カメラをカシャッと外した。トントンに渡して身軽に降りる。
｢おけ、んじゃこれ送るで。｣
トントンがエレベーターの隅にカメラを置き、そのレンズを入口に向けた。エレベーターから出てもう一度確認し、扉を閉める。カメラを載せた無機質な箱は、低い振動音を響かせながら降りていく。
｢上手くいくといいけど…。｣
｢多分、大丈夫だと思います。｣
｢むしろ、何かあった方がアクション見れるからええねん。問題は…。｣
トントンが眼鏡の奥の切れ長の目を険しくさせた。
｢何も起こらんかったら、どーするかっちゅーことや。｣
｢…何かそれフラグみたいですね。｣
｢怖いこと言うんやめてもらえますかぴくとさん？｣
｢あいつら科学的な事には頭働きよるからな…。体温感知とかの装置やったらアウト、やな。｣
｢ゾムまで…。でも、元々何も分からない状態で行くはずだったんだからさ。ちょっとでも何か、情報があればいいな。｣
ひとらんらんが前向きにそう言う。頷いた4人の頭に、ロボロの声が響いた。
《…見えた。》
C seventy-five→←C seventy-three
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 127人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
壱(プロフ) - 初コメです この作品ずっと見てます！！大好きです！ 神作品ありがとうございます！ (2022年1月14日 10時) (
レス) id: 135ae75002 (このIDを非表示/違反報告)
ぽいぽい(プロフ) - 紫陽花さん» 読んでくださってありがとうございます！お客様が神様の精神でやっております^ ^いずれにしても、嬉しいお言葉ありがとうございます！ (2019年10月23日 20時) (レス) id: 05af6d92c8 (このIDを非表示/違反報告)
紫陽花 - 最近読んだんですけど神ですかね？神ですよね！本当に好きです！ (2019年10月23日 19時) (レス) id: d538ff0020 (このIDを非表示/違反報告)
ぽいぽい(プロフ) - 鈴蓮さん» おぅっ！？鈴蓮さんありがとうございます！まさか読まれているとは…くそ長い作品にお付き合い頂き、本当にありがとうございます！ (2019年10月16日 12時) (レス) id: 05af6d92c8 (このIDを非表示/違反報告)
鈴蓮(プロフ) - 完結おめでとうございます！(*´∇｀*) (2019年10月16日 12時) (レス) id: 4a95fce3d1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽいぽい | 作成日時：2019年7月27日 20時
