C fourty-three ページ4
身長の高い男だった。ゾムより10cmは高いだろうか。白衣に身を包み、その中には黒のシャツと紫のネクタイを着こなす、スマートな男である。しかし、違和感を感じるのはその顔に付けた狐面であろう。その上には、フサフサとした茶色の髪が、先程の爆発で絡まりながら生えている。
｢やー、失敗失敗。｣
｢また実験やってはったんですね…。｣
｢ん？おお、鬱くんではないかね。最近この研究室に来てくんないから、退屈してたよ。｣
｢先生、こいついつでも使ってもらっていいですよ。｣
｢グルちゃん！？｣
男は爽やかに笑ってから、その顔をゾムに向けた。
｢それで、君は誰かな？お初にお目にかかるよね？私はクラレだ。｣
ゾムは、警戒をしながら不思議な感覚に捕われていた。
(なんやろ、今までの奴らと違う…。なんか、胡散臭いことに限りはないねんけど…良い胡散臭さしてるって言ったらおかしいな…。)
｢紹介しましょう、新たに幹部に加わったゾムです。｣
｢どうも。｣
クラレの差し出した大きな手を、ゾムは握る。
｢ほう、新人君か！よろしく、ゾム君！｣
そう言われて、ゾムは思った。
(そうや。この人、俺を俺として見てくれとるからや。しかも、あの気持ち悪い喋り方せえへん。なんかこう、スタイリッシュな感じやから嫌じゃないんやな。)
｢まぁ話は茶でも飲みながら聞こう。座ってていいよ。｣
クラレは応接間のような小綺麗な部屋に3人を通すと、ソファに案内して自分は奥の部屋に消えた。
｢な？別に悪い人じゃないだろ？｣
｢おん。寧ろちょっと好印象なとこあるわ。まぁこれまでの奴らがヤバかったからやろうけど。｣
｢今まで兵器の開発や商品開発などに協力して頂いたんだ。過激なところもあるが、良い奴だゾ。｣
｢うん、なんか安心したわ。大先生喋らんようになってもうてるけど、多分全て大先生が悪いんやろうから何も思わんし何も言わんとくわ。｣
｢何でや！？｣
暫くして、クラレがお盆にカップを4つ乗せて持ってきた。
｢やー、待たせたね。はいこれどうぞ。｣
｢ありがとうござ…ちょ、これ、先生！？｣
｢ほう…変わった色彩ですな。｣
｢何なん、これ。｣
3人のリアクションをじっくりと見て、クラレは仮面の奥の目を楽しげに細めた。
｢お気に召したかな？青色のコーヒーを入れてみました〜！｣
まるで子供かのように無邪気に話すクラレを見て、ゾムは呆れながら思った。
(グルッペンとクラレ先生って、似とるんかな…。でも、ええ人そうやわ。)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 127人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
壱(プロフ) - 初コメです この作品ずっと見てます！！大好きです！ 神作品ありがとうございます！ (2022年1月14日 10時) (
レス) id: 135ae75002 (このIDを非表示/違反報告)
ぽいぽい(プロフ) - 紫陽花さん» 読んでくださってありがとうございます！お客様が神様の精神でやっております^ ^いずれにしても、嬉しいお言葉ありがとうございます！ (2019年10月23日 20時) (レス) id: 05af6d92c8 (このIDを非表示/違反報告)
紫陽花 - 最近読んだんですけど神ですかね？神ですよね！本当に好きです！ (2019年10月23日 19時) (レス) id: d538ff0020 (このIDを非表示/違反報告)
ぽいぽい(プロフ) - 鈴蓮さん» おぅっ！？鈴蓮さんありがとうございます！まさか読まれているとは…くそ長い作品にお付き合い頂き、本当にありがとうございます！ (2019年10月16日 12時) (レス) id: 05af6d92c8 (このIDを非表示/違反報告)
鈴蓮(プロフ) - 完結おめでとうございます！(*´∇｀*) (2019年10月16日 12時) (レス) id: 4a95fce3d1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽいぽい | 作成日時：2019年7月27日 20時
