File81 偽りの時刻 ページ38
『多分彼はそれを回収しようとしている所を、村沢さんに見つかり、殴って逃げたんだと思います……』
「まぁ、『平田和明』村長秘書に話を聞けば良いだけの事よ。『西本健』の遺書に書いてあった『悪魔の粉』……それが麻薬なのだからね!」
「という事は……まさか薬の取り引きで川島氏とモメ……。それでお前は川島氏を……」
「な!?」
『いいえ、『平田和明』村長秘書は三つの殺人とは無関係よ』
『彼が犯人なら川島さんを海で溺死させた後、わざわざピアノの部屋まで運びませんよ……あの部屋が殺人現場になれば、後で鑑識に調べられ、ピアノの隠し扉が見つかってしまうかもしれませんからね……』
『ここで問題になるのが、第三の事件当時、なぜか公民館にいて平田さんに殴られた村沢さん……』
「ま、まさか村沢は犯人……」
『バカね、犯人じゃないわよ。『西本健』の死体を発見した時、入口は開いていたけど、倉庫には外側から鍵が掛かっていた。犯人は壊した倉庫の窓から侵入し、『西本健』を殺してまた窓から逃げた……。それに犯人は、『西本健』を自 殺に見せかけるために遺書まで用意して吊るし上げたのに足元に台を置かない初歩的なミスをしているわ。犯行当時、慌てていたと見てまず間違い無いわ。そんな人が再び玄関から入り、ピアノの部屋に行くなんて考えにくいわ』
「た、確かに……」
『では、犯人は誰なのか? 今まで分かっている犯人像は、三人ともかなりの力技で、おそらく犯人は男性……そしてアリバイの無い人物……』
「残るアリバイの無い人物は清水さんだけだが……」
『ここで注目されるのは第二の事件よ。あれは『黒岩辰次』現村長が放送室で刺殺され、その死亡推定時刻に掛かっていたテープの頭に五分三十秒の空白がある事から、『黒岩辰次』現村長が殺されたのは死体発見の六時三十分前後になるというもの』
『しかし思い出してください……あの時
現場に残された血の暗号の上にコナンが倒れたのに、暗号は消えなかったという事を……』
「そういえばそんな事を……」
『おかしいじゃない。常温だと血が乾くのに三十分前後かかる。彼は数分前に殺されたのに……よ? あれは犯人のトリックにより操作された、偽りの死亡推定時刻!』
「な、なんだって!? し、しかしあれは成実先生の検死でも証明された時間……。第一テープの頭には五分三十秒の空白しか無かったじゃないか! 犯人が黒岩氏を殺した後に掛けたなら……」
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作者名:櫻咲翼遥 | 作成日時:2016年12月18日 15時