2チェンジ ページ3
...なんだろう。声がする。咲じゃない。聞き慣れない、声。
その正体が知りたくて。ゆっくり目を開けた。
｢ぅ...｡｣
｢あ、目が覚めた？大丈夫？｣
頭が痛い。見慣れない部屋。そして初対面のメガネ。うん、ワケわからない。
メガネのその人はズイッと近付いてきて、覗き込んでくる。そして安心したように笑った。
｢うん、大丈夫そうだね。訓練中、ミスしたんだって？珍しいけど徹夜がずっと続いてたしね｡書類でしょ？｣
ペラペラと話すメガネの方の言葉は、私には理解出来ない。訓練。徹夜。何の話？
...そもそも医者には見えないし。とりあえず事故にあって、その後だから...。
起き上がって、思わず頭を押さえた。痛い。
｢ああ、無理しないで。頭を強打したらしいから。今日と明日は安静に。医療班からの伝言｡｣
にこりと微笑むメガネ。
｢受け身も取りきれてなかったんでしょ？頭の怪我と、少し打撲...後は大丈夫そうだってさ｡｣
...何か、見覚えあるような...。
記憶を辿る。どこだろう？記憶に霧がかかったように思い出せない。
メガネの人はヒラヒラ手を振って、ふと出ていく。
｢エルヴィン呼んでくる。待っていてね｡｣
...エルヴィン？
ほら、また聞いたことがある。一体何だろう。どうして？
疑問も聞けず、とりあえず待つしかないらしい。
自分の格好を見れば、シンプルな服装。部屋はどうやら寝室。病院ではなく、ただの。
いや、私は一体誰に拾われたよ？誘拐？え、警察に電話。110番。
ワタワタしてればまたドアは開いた。
｢目が覚めたか｡｣
金髪で背の高い人。さっきのメガネが呼んだ、エルヴィンさんだろうか。
｢事情は聞いた。...あまり無理はしないように｡｣
はい、何かスミマセン。まず話がわかんねぇ。
｢書類仕事って、溜まると大変だよね〜。そうだ､エレンは明日まで私が監視するから、大丈夫だよ｡｣
エレン...？
何だ、ほら。絶対聞いたことある。思わず頭に巻かれた包帯に手をあてた。
何か記憶の引き出しが開きかけてる。もどかしい。思い出せ。思い出せ。思い出せ。
何だ、この世界は。
頭に手をあて俯いた私に怪訝な視線が向くのが分かる。
そして呼ばれた自分の名前に。
｢...どうした？｣
エルヴィンさんの声に。言葉を失った。
｢───────リヴァイ｡｣
続く
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作者名：氷室夜月 | 作成日時：2020年3月14日 0時
