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Aは話すべきか少し迷ったが、意を決して口を開いた。
『…理由は2つあります。最初は、皆、私に対してちやほや接していたの。子供の頃から、何故か他の子よりも色々な事が出来た。両親もそれが自慢だったみたい。…特に父は、私の事を母よりも大事にしてくれた』
Aは一つ溜め息をつく。
『…それがいけなかったんだけど。母は次第に私の事を疎むようになり、酷い扱いをしてくるようになった。笑っちゃうのは、まだ年端もいかない子供を、女として見ていたって事かな』
マクゴナガルは思わず立ち上がり、Aの隣りへ座ると、その身体を抱きしめた。
Aは一瞬驚いたが、再び話し出した。
『…物心つく前からそんな感じだったから、あんまり母親の良い印象が無くて…だから、ウィーズリー家のモリーを見ていたら、何だか母親の様に感じちゃったんです』
「そうだったのですか…全く知りませんでした」
『…そりゃそうですよ。誰にも言っていませんから』
Aはフフッと笑うと、更に続けた。
『…もう1つの理由は、子供の頃から、不思議な力が使えた事。のちに、この学校に通う様になって、それが魔女の才能があったことに気づきましたが、当時の私はそんな事知る由もなくて…』
『…物を触らずに動かしたりする事だって出来た。でもそれが他の人達には出来ない事ってわかった時、人にバレちゃいけないんだって何となく思っていたんです。…でも、ある時バレてしまった。それまで、関係が良好だった父親を始め、友人達も私を恐れて離れていきました』
マクゴナガルの手に力がこもった。
Aの淡々と話す様子が痛々しく感じたのだ。
『…それからは、本当に辛かった。両親とも絶縁し、ずっと1人でした。だから、ダンブルドア先生が来てくれた事は、私にとって一筋の光だったんです』
しばらく沈黙が訪れる。
マクゴナガルは深い溜め息をついた。
そして、Aから離れると、その目を真っ直ぐに見て言った。
「A、辛い思い出を貴女の口からお話させてしまってすみません…。しかし、何故わたくしにお話していただく気になったのですか?誰にも明かしていない事を」
するとAは『…うーん、そうですね…』と少し考えた後に、ニッコリと笑って言った。
『今がとても幸せだからかな』
マクゴナガルは思わず涙が出そうになった。
彼女のその顔が、本当に幸せそうだったからだ。
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心夜 - そうなんですね。これからも宜しくお願いしますo(*⌒―⌒*)o (2021年1月10日 13時) (レス) id: d958da9fc4 (このIDを非表示/違反報告)
piyo(プロフ) - 心夜さん» 心夜様、コメントありがとうございます!自分で作っておいてなんですが、私もです…(^^; 前作の大人編を作る時に決めてしまったので…(汗 ルーピン先生とのバージョンも余裕あればいずれ作りたいな、と思っております。これからもよろしくお願いします(^^) (2021年1月10日 10時) (レス) id: 1647fc4bda (このIDを非表示/違反報告)
心夜 - ルーピン先生押しのため少し残念ですが、楽しみに読ませて頂いてます。頑張ってくださいねo(*⌒―⌒*)o (2021年1月10日 7時) (レス) id: d958da9fc4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:piyo | 作成日時:2021年1月7日 1時