伊野尾先生と僕。【2】 (ページ40)

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味方ページ40

「でも知念くん、一つ訂正していい？“邪魔にならないように”じゃなくて、“仲良くなれるように”でしょ？」

と高木。それに続いて薮も諭すように知念に話す。

「そうだぞ。今までは、もしかしたら誰かの邪魔にならないようにって生きてきたのかもしれないけど、そういうのはもう終わりな。邪魔にならないように潜めるんじゃなくて、仲良くなるために表すんだよ。知念の新しい人生は、伊野尾と一緒にいると決めた瞬間からもう始まってるんだからな。」
「高木さん.....、薮さん......。ありが、とうっ、ございます....っ。」

二人からの言葉がよほど嬉しかったのか、知念はみるみるうちに涙を溜め、感謝の言葉を述べた頃にはその目からポロポロと大きな粒を零していた。
そんな三人の様子をずっと傍観していた俺に「伊野尾くん。」と高木が声を掛けてきた。

「困ったことがあったら、いつでも相談して？力になるから。」
「俺たちはいつだってお前の味方だってこと忘れんなよ。」

そう言って二人は俺に笑いかけてくれる。

「.....もう...なんだよお前らぁ。俺まで泣きそうになるだろ......。でも.....高木、薮。ホント、ありがと。俺...、めちゃくちゃ頑張るから.....いや、違う....。俺がめちゃくちゃ頑張りたいから、しっかり見守ってて。」
「頑張り過ぎんなよ？」
「うん、なんかあったらちゃんと二人を頼る。」
「絶対だよ？......それに、可愛い知念くんともっと仲良くなりたいしね。」

そう言うと知念に向かって軽くウインクをする高木。

「おい！高木！知念を誘惑するんじゃない。」
「ええー？してないしてない。伊野尾くんの気のせいだよ。」
「まあ、相手は高木だ仕方ない。」
「仕方なくねーわ！知念、このおじさんたちには気をつけるんだぞ。わかった？」
「...じゃあ、伊野尾先生も、おじさんだね？ふふ。」
「ええ？！ちょっと知念。いつから向こう側につくようになったの！」
「伊野尾、残念だったな。」

ダイニングにたくさんの笑い声が飛ぶ。
しんみりしてしまいそうな雰囲気を、ちゃんと笑顔に変えてくれる二人。
こんなにも手を差し伸べてくれる二人に、俺だって何があっても二人の味方だと、改めて胸に刻んだ。

「いっぱい笑っていっぱい話したらお腹空いたね。」

高木の一声で「じゃあ、お昼にしようか。」と、みんなで昼食の準備に差し掛かった。