英国紳士 ページ23
次の日。
ちょうど学校が終わった頃に彼からメッセージがきた。
“先生、今から時間ありますか?”
メッセージのやり取りに慣れてないような改まった文面。
“大丈夫だよ。どうしたの?”
そう送るとすぐに既読になり返ってくる。
“先日伊野尾先生が連れて行ってくれた雑貨屋さんに行きたいです。”
「“先日”って....、ふふ。」
畏まった言い方に思わず笑った。
“いいよ。じゃあ、学校の近くまで迎えに行くから待ってて。”
“わかりました。角のコンビニで待ってます。”
“了解〜”
簡単に出掛ける準備をして車で向かう。
言われたコンビニに近くなってきたので“もうすぐ着くよ”とメッセージを送る。
遠目に見えるコンビニから、制服らしきものを纏った人が二人出てきた。
多分知念だろう。
もう一人は、いつも言ってる友達か。
随分と体格の違う友達だな。
....いや、知念が華奢で小さいだけか。
そんなことを考えているとすぐにコンビニに着いた。
俺の車を見つけるとテテテッと小さく手を振りながら駆け寄ってくる姿はまるで女子高生だ。
「ちょっと待たせちゃった?」
窓を開けて彼に話しかける。
「ううん、全然大丈夫!けーとが一緒に待っててくれたの。あっ、伊野尾先生!この子がいつも話してるお友達のけーと。」
「初めまして、知念くんの友達のけーとです。」
「です」が若干「れす」に聞こえたことは黙っておく。
「けーとくん、初めまして。一応知念の保護者の伊野尾です。よろしくね。」
「はい、よろしくお願いします。」
そう言って自然にスッと出された右手。
「ほえ?...あ、握手?」
「あ、はい。挨拶の握手。」
「ああ、じゃあ、どうも。」
このぎこちない一連を見ていた知念がクスクスと笑っている。
「けーとね、帰国子女なの。だから色んなとこで外国の習慣なんだ。ね?けーとっ。」
にっこり微笑まれて嬉しそうに「うん、ちぃちゃんありがと!」と笑顔を返す友達。
え、なに....ちぃちゃんって....呼ばれてんのか。
「けーとね、すごく紳士なんだよ。絶対先にドア開けてくれるし、ペットボトルのキャップを緩めてから渡してくれるし、必ず車道側歩いてくれるの。しかも自然に!すごいでしょ?」
「へえ、そうなんだ。すごいね...。」
「そんなことないよ。ちぃちゃんが可愛いから、なんでもやってあげたくなっちゃうの。」
「けーとは英国紳士だね。」
二人に流れる俺の知らない空間。
....え?なに?なんかモヤモヤすんだけど...。
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作者名:ちぃねずみ | 作成日時:2017年11月5日 23時