ピアノとバレー (白布 賢二郎) 3

空振り ページ5

白布くんの顔が少し赤くなる。


少しの間、沈黙が流れて、


白布くんが口を開いた。



白「・・誘ってくるなら、行くよ。」



目線を外しながらそう言った白布くん。


・・・行ってくれるんだ。


思わず頬が緩む。



『ありがとう。』


白「別に。」



・・・恋だって気付いたからだろうか。


変に意識してしまう。


繋いでる手に熱さがこもってる感じがして。


少しの沈黙に息が詰まりそうになって。


・・・初めてだよ、分からない。どうしたらいい？


・・・・けど、



好きな人と歩く帰り道は、


好きな人と見上げる星空は、



こんなにも特別なんだろうか。









『・・・・はあ。』



その後、白布くんが駅まで送ってくれた。


玄関に入った瞬間脱力して、


今は自分の部屋のベットにダイブしたところ。


・・・今日は、私が恋を知った日？


白布くんが・・私の好きな人。



『・・・・・、』



恋を知ったら・・・どうするべき？


・・・あ、


つ、付き合う・・・？




「俺、華原さんのことが好きです！付き合ってください！」




一か月前に告白してくれた男子を思い出す。


・・・そう、付き合うために必要なのは告白。


まって、私にできるの？


・・・・・無理。


できないよ。私なんかには・・・・だけど、


・・・何も、始まらない？


いろいろ考えすぎて、頭はパンク状態だった。


その時、


スマホからコール音が聞こえた。



『・・・芹那？』



スマホを取り出し、電話に出る。



『もしもし・・』


芹「あれ、なんか元気ない？」


『う、ううん！大丈夫。』


芹「そ？ならいいけど。もう終わった？デート。」


『うん。今帰ったところ。』


芹「そっか。どうだったの？」


『楽しかったよ。花火も綺麗だった。』


芹「おー、よかったじゃん。」



・・・あ、


芹那に言ってみようかな？好きな人ができたこと。



『あのね、芹那。』


芹「ん？」


『・・私、白布くんのこと好き。』


芹「あー、知ってる知ってる。やっと気付いたかぁー。」



・・・！？


え、あ、あれ、思ってた反応と違う・・・



『し、知ってたの？』



私、気付いたの今日なんだけど・・・



芹「うん。恋だって認識したのは今日かもしれないけど、あかり結構前から白布くんのこと好きだよ。」



！？



『・・そうなの？』


芹「そうだよ。あかりさ、______』

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