ピアノとバレー (白布 賢二郎) 2

白布くんside ページ42

並んで歩きながら鳥居をくぐり、屋台の方へ足を進める。



『白布くん何か食べる？』



華原が楽しそうに目をきらきらさせながら聞いてきた。


なんでまだ何もしてないのに楽しそうなんだよ・・・


見た目はいつもより数倍大人っぽいけど、


中身はいつも通りだ。素直で天然。



白「美味しそうなの見つけたら買う。華原は？」


『そっか。えーっと私、かき氷が食べたい・・・』



あるかな、と言いながら少し前に出てきょろきょろする華原。


そんな姿を後ろから見ていると、どうしてもうなじに目が行ってしまう。


拳１つ分ほど空いた衣紋から見える、白いうなじ。


・・・・・・色気やば。


・・ダメだって。いけないこと考えるな。


ため息をつきながら目線を外すと、


ばっ、と華原が振り向いた。



『白布くん！あった、かき氷。』


白「どこ？」


『あそこ。』



華原が指差す先には少し列ができたかき氷の屋台。



白「行く？」


『うん。』



華原が嬉しそうに頷いたので、


屋台の方に歩き出して、列に並ぶ。



『白布くんは要らないの？』


白「俺、冷たいのあんま好きじゃない。」


『そうなんだ。どうして？』


白「特に理由とかはないけど・・かき氷は頭痛くなるし、食べ物以外でも冷えピタとか無理。」



なぜか嫌いなんだよな・・・



『へぇー、・・でも確かに冷えピタ嫌そうだったもんね、この前。』



華原は微笑みながら言う。



白「俺が風邪引いた時の？」


『そう。冷えピタ、って聞いたら顔歪ませてたよ。』


白「・・・だって嫌いだし。」


『ふふ。その時も嫌いなんだろうな、って思った。』


白「ふーん・・逆に華原は嫌いなものないわけ？」



こっちだけ弱みを握られた気がしたので聞いてみる。


すると華原はうーん、と考え始めた。



『・・・なんだろ、・・手の怪我、とか？』


白「え、怪我？」



いや、逆に怪我を好きな人、って希だけど・・・


嫌いなもの聞かれて怪我、って言う人も稀だよな。



『うん。』


白「なんで？」


『ピアノに支障がでるから。あと・・・昔、お母さんに怒られたの。』



ピアノ、と・・・・母さんに怒られた？



白「・・・なんで？」


『昔ね、器械体操で手首捻ったんだけど、それが運悪くコンクール前で・・・でも手首は捻挫しちゃってて、コンクール出れなかったの。』


白「・・・へぇ。で？」

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