ピアノとバレー (白布 賢二郎) 2

浴衣 ページ36

優「えっ、そうなの！？百合那のは・・・ってあの子浴衣持ってなかったわね。」



『はい・・お母さんの浴衣ないかなって探したんですが・・・お母さんどうして持ってなかったんでしょう。』



優「うーん、あの子は根っからのピアノバカだったから、お祭りとか行かないのよ。そんな暇あったら練習するって。」



『あ・・そうなんですか・・・。』



優「うん。臣くんとの花火デートの時でさえ着なかったからね〜。そんな金あったら楽譜欲しいって。」



『お、お母さんらしいですね・・・』



優「全くよ。あの子の浴衣姿、絶対綺麗だと思ったんだけどなぁ。」



『私も、見てみたかったです。』



優「見れるわよ？」



『え？』



優「ここにいるじゃない。百合那の生き写しが。」




生き、写し？



そんなのどこにも、・・・って。




『あの・・・私、ですか？』



優「あかり以外に誰がいるのよ。」



『でも、さっきも言ったように私浴衣が・・・』



優「ああ。安心して。私が買うわ。」



『・・・え！？』



優「あかり兼百合那の浴衣姿見てみたいしね〜。」



『や、え、わ、悪いです！だめですよそんなの！』



優「いいから。入学祝いだと思って。まだだったしね。それに浴衣ってそれほど高くはないのよ。」



『で、でも・・・』



優「買わせて。着て欲しいし見てみたいの。着たら絶対白布くんも喜ぶから。」



『・・・ほ、本当にいいんですか？』



優「当たり前でしょ。これくらい素直に甘えなさい。」



『・・・ありがとうございます、優子さん。』




優子さんは優しく笑う。



本当に・・・優子さんには甘えてばっかりだ。



いつか、恩返ししなきゃ。




優「いいのよ。んじゃ、さっそく行きますか！」



『？どこへ・・・？』



優「浴衣のお店！買いに行くわよー！」



『えっ！今からですか！？』



優「そうだってば。さっさと行くわよー。あずは・・・って寝ちゃってる。」



『ほ、本当ですね。優子さんと私だけで話しすぎたから・・・』




ごめんね、あずちゃん・・・




優「気にしなくていいのよ。あずは、おばあちゃん呼んで家で寝かせておくわ。」



『は、はい。』



優「じゃ、行くわよ。」




2人で家を出て、駅前の浴衣のお店に向かった。






浴衣屋さん



店員「いらっしゃいませー！っまあー！とっても可愛いお姉さん！」



店員2「モデルさんですか？」



『いっ、いいえ・・・』

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