もしも、神様ってやつがいるならさ。 (ページ14)

今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:9,776 hit

◇１４◇ ページ14

.

智「…というわけで。今日からルミエールの女神様として来てくれることになった、Aちゃんです(笑)」

「神崎Aです。よろしくお願いします…」

早朝シフトのメンバーが全員揃ったところで。

おーちゃんがみんなの前で私を紹介してくれる。

パチパチパチ…。乾いた拍手が店内に響き渡る。

翔「女神ってコイツが！？疫病神の間違いだろ～？(笑)」

ぎゃははって笑う櫻井は、相変わらず私の扱いが雑。

「うっさい櫻井！！！」

智「はいはいAちゃん落ち着いて。…二人とも早く着替えてきな？」

翔「うぃーっす。行くぞ？A」

「ん…」

櫻井に続いて、私もさっそく更衣室のある二階に上がろうとしたら。

智「あ、ちょっと待って。まだ和のことAちゃんに紹介してなかったわ」

そう言って、おーちゃんが私のことを引き留める。

おーちゃんの隣には、薄茶色の瞳をした小柄な男の子。

…色白。睫毛長い。

和「…いいよ、んなもんしなくたって」

智「そういうわけにはいかないって。これから一緒に働く仲間になるんだからさ？」

和「仲間…？たかが客寄せパンダが一人増えたくらいで、笑わせんなよ」

翔「お前っ……」

和さんの言葉に、櫻井が怒ったようにこっちに飛んできて。私の前に立ちはだかる。

握りしめた拳がプルプルと小刻みに震えてて。

…やばい。すごくイライラしてる。

和「…なに？何か文句あんの？」

翔「お前さ、俺らのことが気に食わないのはいいけど。…んな言い方しなくったって良くね？」

智「っちょ…。二人ともやめなって」

和「だって実際、お前ら二人とも客寄せパンダみたいなもんだろ」

翔「は…？」

和「容姿以外じゃ何にも取り柄ねぇくせに…」

翔「っコイツ…！」

あ。まずい。

櫻井がブチ切れる。

そう思って目を瞑りかけた瞬間…

おーちゃんが和さんに殴りかかろうとした櫻井を後ろから羽交い絞めにして。

智「もうやめろってば！和はAちゃんと翔ちゃんに今すぐ謝れ！！」

いつも優しくて穏やかなおーちゃんが、こんな大声を出して怒ってるとこを見るのは初めてで。

思わず息を飲んだ。

…普段大人しい人ほど、爆発したときは怖いもんだとよく言うけれど。

まさにそれ…。

.