もしも、神様ってやつがいるならさ。 (ページ1)

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ミーンミンミンミン…_______

大学に続く並木道を歩いていると、頭上から降ってくる大量の蝉の声。

翔「うるっせぇ…」

隣を歩いていた櫻井が、ふいに立ち止まって顔をしかめる。

明るい茶髪が、降り注ぐ太陽の光にきらきらと照らされて。

…眩しい。

翔「…蝉ってよくこんなクソ暑い中、ミンミン鳴き続けられるよなぁ」

木々を見上げて、呆れたようにため息をつく。

ぱっちり二重の整った顔。

黒のVネックTシャツから伸びる、程よく筋肉がついた白い腕。

…少し汗の滲んだ首元には、シルバーのネックレスが光っていて。

なんなの。何でこんなにカッコイイのこいつ。

並んで歩くだけで、ドキドキする…＿＿＿＿

翔「…なぁ。今日授業終わったらさ、みんなでどっか遊びにいかね？」

「何言ってんの。今日はバイトでしょー？」

翔「あーそうだったそうだった(笑)
じゃあさ、Aお店に遊びにきてよ？そろそろおーちゃんもAに会いたがってるし」

「え、おーちゃんが？…なら仕方ない」

翔「おまっ……ほんと大野さんによく釣られるよな(笑)」

「だって優しいんだもんー。かっこいいし可愛いし、大好き！(笑)」

んふふって笑って櫻井を見上げると、惚れんじゃねーぞバカって軽くおでこを叩かれた。

ちぇっ。分かってますよーだ。

…おーちゃんには、美人な年上彼女がいるんだもんね？

『おーちゃん』とは、櫻井がバイトしているベーカリーカフェの店長のこと。

まだ20代後半なのに、フランスの有名なパン屋で修行を積んだ後、自分のお店を開業したすごい人なんだとか。

翔「じゃあ、また後でな。…約束すっぽかすんじゃねーぞ？」

「はいはいちゃんと行きますよ」

私の返事に、んって満足そうに笑った櫻井。

くるりと背を向けて、足早に大学の構内に向かってゆく。

…私も早く行かなきゃな。

もうすぐ３限、始まっちゃう。

手元の腕時計に視線を落として、慌てて講義室に足を向けた。

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