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「……これ、ほんとにありがとう。
久々にデートしたい気分だったから…。櫻井くんに付き合ってもらえて楽しかったわ」
駅に着いて、改札で別れる直前…
Aさんは俺から洋服の入ったオシャレな紙袋を受け取ってペコリと頭を下げた。
「次、デートするときはそれ…着てきてくださいよ？」
「え、次……？」
驚いたように目をまん丸に見開いた彼女。
キラキラ光る瞳はガラス玉みたいで。ほんと綺麗。
あんな話を聞いておいて…逃しはしない。
だって、Aさんは好都合にも
俺がAさんを嫌ってると思ってるみたいだった。
っつーことは、つまり。
Aさんは俺を好きになるかもしれないということで。
俺がAさんを嫌いなフリをしてさえいれば、いずれは彼女と…_____
付き合うことだって夢じゃないかもしれない。
「俺、確かにAさんみたいな女は……嫌いだけど」
「っちょ……。櫻井くん！？」
ぐ…っと彼女の腕を引っ張って、自分の方に引き寄せる。
そしてそのまま背中から腕をまわして、華奢なその体を強引に抱きしめた。
「それが全部演技だなんて聞いたら…ほっとけませんよ？」
そっと彼女の耳元で甘く囁くと…びくんと腕の中の小さな体が跳ねる。
んん？これはけっこう…いけそう、かも。
時折通りすがる人が不審げな目でこっちをチラチラ見てくけど、
そんなの全く気にならないほど俺は彼女を引き止めるのに必死で。
このチャンスを逃したらもう、きっとAさんをモノにすることは出来ないから…_______
俺は大好きなあなたと両思いになるために、
あなたのことを嫌いになってやる…_______。
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作者名：りま | 作成日時：2016年8月22日 7時
