◆２２◆ １/１７更新↓ ページ22
.
『今の私が演じてる私は全部……あの浮気相手の女の子そのものなの』
震える声で、そう小さく呟いた彼女。
長い睫毛が悲しそうに伏せられたのを見て。
ちくりと胸が痛んだ。
…Aさんの言う通り、大抵の男は素直で可愛い女が好きだ。
かくいう俺も、可愛いAさんに騙された「バカ男」の一人だったわけだし…。
…ああ！Aさんごめんなさいい！！
男って単純でバカな生き物ですいません。
なーんて、心の中でAさんに土下座なう。
好きになっちゃってごめん。バカ男でごめん。
…でも、浮気されたのはAさんのせいじゃないよ？その元彼が１００パーセント悪い。
だって現に今、隣でラーメン食べてる素のAさんも全然可愛いから。
っつーかむしろ俺は、こっちのがタイプかも。
「櫻井くん？…もしかして寝ちゃった？(笑)」
ふふっと笑う呼吸が耳をくすぐる。
…なあ。それは素でやってんの？それとも演技？
「……今日は助けてくれてありがとね」
「…別に。見てて不愉快だったので」
突っ伏していた顔を上げてAさんを見ると、
起きてたの…？って驚いたように目を丸くした。
いや、さすがにね？
ここでガチ寝するわけにはいかねぇって(笑)
「ねぇ、そういえば。櫻井くんも私に対しては、いつもとだいぶキャラが違うような気がするんだけど…」
「ああ俺？バレました？(笑)」
「バレるも何も、あんなタメ口で暴言吐かれたら…。せっかく爽やかで好青年な私の櫻井くんのイメージが台無し！」
「うふふ。好きな人にそんなこと言ったら、嫌われるでしょう(笑)」
「ああそうね。櫻井くんは私のこと嫌いなんだものね！私にどう思われようが気にしないわよね」
「………。」
違うって、本当は否定したいのに…
できない。
Aさんが自分のことを嫌いな男が好きだって言うから
だから、わざと冷たい態度で接して、Aさんのことが嫌いなフリをしてるだけなのに…。
もし俺が、Aさんのことがずっと好きだったって打ち明けたら。
やっぱりAさんに嫌われて、軽蔑されちゃうんだろうか…？
…それだけは嫌だ。絶対に。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 230人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りま | 作成日時：2016年8月22日 7時
