彼との出逢い ページ5
「わー、猫だよ!」
「ほんとだ!可愛い!!」
女子4人は猫を前にしゃがみこむ。
「にゃー」
「にゃー」
「かわい……」
猫と戯れている間に、男子3人は、前へ、前へ、と行ってしまう。
「わー、猫が可愛いだけなのに」
「なんで待ってくれんのー、ひど」
隣りから、口々に物言う声が聞こえる。
私も便乗して声を張り上げることにした。
「河村くんと海月くんは、女子を気にしながら、後ろ振り返ってくれるのに、哀川くんは振り返ってもくれないんだね」
タメ語で放つ。最近彼らとはタメ語で話すようになった。……いや、正確に言えば、蓮とはこれが初めて、のはずである。
「元々お前らが勝手についてきただけだし」
速人は、なんとも冷たいことを言うんだな、とその後も女子は、Mな彼へと、暴言に近い言葉を吐き続ける。冗談だと通じあっていなければ、これは、いじめに部類してしまうだろう。しかも、速人は正しいことを言っている。真面目に考えると、反論している私たちは結構おかしいのである。
まあ自転車を持ってる3人が、歩きの女子4人を置き去りにしていないだけありがたいことなんだろうけど。
角を曲がった。
曲がって少しすると、蓮が、後ろの、女子の方へとやってきた。後ろから、ふざけている速人と篤基の後ろ姿を、笑いながら見ていた。
そんなことをしながら、隣の、あまり喋ったことのない男の子へと、改めて声をかけた。
「えっと……海月くんは、私がタメで話してるの初めてだよね?その……改めてよろしくお願いします。」
「ん、よろしく」
これが、始まりだった。
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作者名:ぺんぎん(。・θ・。) | 作成日時:2018年1月16日 18時