カフェテリア ページ22
「ここに自転車止めればいいんじゃない?」
「うん、そうするよ。」
カフェについた。蓮が、持っていた自転車を止めるのを待つ。
「じゃ、入ろっか」
扉の前まで歩くと、蓮が扉を開けてくれて、先にどうぞとしてくれる。
当たり前のことなのだろうけど、いつもやる側の私としてはこんな些細な気配りでさえ嬉しいものである。
「奥、行こ」
店の一番端。
あまり目立たないところに行きたいこともあって、隣に窓のない場所を選んだ。
私は東向きで壁向きに、蓮は西向きすなわち店の内側向きで座る。
私たちは正面を向いていた。
話すことがあるという事情は、軽く言えるようなものではない。でも、彼に話したいと思った。
約束した東京への遠出のお出かけの為。
あと四日なのだ、その日までは。
約束した東京の遠出というのは、七月中に約束した夏休みの日程の1つ。田舎に住んでる私たちにとって、東京ってのはとても遠い場所。
大学のオープンキャンパス目的という名目を立てて、観光する予定である。
最近になって、親がわかりやすく反対してきた。今までは、べつにちゃんとやってたら言っていいよと、そう言ったのに、今月入ってからはそうでもない。
行けるかどうかという不安が先立つが、それ以上に楽しみなことの一つなのだ。
スカイツリー登りたいなとか浅草行きたいとか、お昼ご飯も一緒に食べるのかなとか
気持ち悪いぐらいに妄想してた。
「とりあえず、なにか頼もっか」
蓮が言う。
話し合ってこれにすると決めてから、店員を呼んで注文した。それはすぐに来る。
私が頼んだのは、サンドウィッチに、キウイのヨーグルト、野菜などがついて、飲み物は柚子ジンジャー。
「俺……頼んだやつと違う……」
少しショックそうに呟く蓮。
「どれ頼んだつもりだったの?」
「これ。」
見ると値段も50円高かった。
内容もあからさまに違う。
「言う?」
「んー、もうこれでいいや。」
口惜しそうに苦笑する蓮。
「ほんとにいいの?」
「うん、いいよ。食べよう。」
蓮がそう言うので、私もそれ以上は何も言わないことにした。
「いただきます。」
「いただきます。」
いつもの癖で言う。けど、そのあとに蓮まで続くとは思わなかった。
なんだか私が言った言葉につられたみたい。
いつも言うのだとしても、蓮の柄に合わないその言葉は、少し聞いてて趣深く感じた。
ラッキーカラー
あずきいろ
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作者名:ぺんぎん(。・θ・。) | 作成日時:2018年1月16日 18時