雨降ル夜ニ【文豪ストレイドッグス】

さんじゅうきゅうひら。 ページ45

太宰side

明らかに何時もと違う
顔も仕草も服も何もかも同じはずなのに何処か違和感を感じた

まるでAではないような
全く違う誰かのような


違和感のもとを見つけるため思考を続けていたとき

「きゃっ、」

バシャ


一人の事務員が何かにつまづき花瓶の水をAにぶちまけた

濡れた彼女に急いで駆けつけようとする

『太宰は来ないで！だ、大丈夫、だから』


一瞬焦ったように声を荒げ、力なく声をだす

‼

嗚呼、此れか違和感の正体は



「君は一体誰なんだい？」

その一言に探偵社が凍りつく

「何を云っている太宰。遂に気でも狂ったか」

今日、此処にいるのは国木田くんと私と事務員さんのみ

親しい乱歩さんや与謝野さんがいない分"欺く"のには幾分か楽だったろう
だが誰よりもAと時間を共有してきた私がいる

『何よ、太宰。また喧嘩する気？』

彼女は事務員からタオルを受け取り乍云う

「惚けても無駄だ、私は誰よりも彼女を知っている。……国木田くんと違ってね」

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