【完】勝手に財布にお金入れないでください【九井一】

3,ご主人様 ページ7

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　聞いたところ九井さんが来たときには三途さんは普通に店の外で待機していたそう。ただ通信機のマイクを付けるのを忘れて、九井さんが来て通信機を見てから気付いたらしい。


「もうやめてください…九井さん…あの、恥ずかしいんですけど…」


　九井さんはATMの前にかれこれ10分は居て、私はその後ろでお金が私の口座に振り込まれるのを見ているという異様な状況。九井さんにどんな仕打ちをされるのかと怯えていたら、どんな暴力でもなく私の目の前でお金が振り込まれるのという状況が今回のお仕置き(？)らしい。周りの目が痛い。ジュラルミンケースが空になったのはそれから5分後ぐらいで。


「いくら…振り込んだんですか…？」
「1億」
「うわ」
「次は1億5千万な」


　どんな脅し方だ、と途方に暮れる。九井さんの変な振り込み癖は本当にどうしてこんなことをするんだろう。買い物に行くにしても九井さんがいつも一緒だから私のお金が出てくことなんて1回もない。もしかして、親バカみたいな感じで私は九井さんに甘やかされ過ぎている気がする。


「あの九井さん…私お金要らないですよ。元々私は買って貰った身で、捨てられるまでどこにも行きませんし…特に欲しいものもないので…。それにもう子どもじゃないんですからね…？」
「言いつけも守れないのは反抗期の子どもみたいなもんだろ」
「それは…三途さんが悪い所も…」
「いいから黙って貰ってろ。金はいくらあっても損はしねーから」


　と言いながら、また私に封筒を手渡す。中身はもちろん札束で多分500万は入ってる。この人感覚麻痺ってるな。いや、もしかしたら知らないだけで他の人にもお金ホイホイ渡しているのかもしれない。この人大丈夫なのかな。


「言ったそばからまた増やす…ありがとうございます九井パパさん」
「誰がクソ親父だ」
「言ってません」




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