【完】勝手に財布にお金入れないでください【九井一】

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「…分からない」


　怖い顔をした男の人達からの視線を感じながら、ココノイさんの姿を探していると、後ろからシャツを掴まれた。


「誰だこんなガキ連れてきたのは〜？」


　振り向くと立っていたのはココノイさんではなかった。垂れ目が特徴的で周りの怖い表情とは反対に緩んだ表情をしていた。よく見たら、その後ろにそっくりな顔をしたくらげのような髪型をした人も立っていた。


「…ココ、ノイさんに…部屋にくるように言われて、て」
「なーんだココの女か。俺が連れてってやるよ」
「子どもじゃん。アイツ趣味悪」


　垂れ眉の方の人が背中に手を添えて、部屋まで案内してくれた。部屋に着くと乱暴にドアを蹴って中に入っていくその人にびく、と震えながら、部屋に入るとあの人が高そうなイスに座って居て、私を見るとゆっくり立ち上がった。


「ほらお前の女連れてきてやったぞー」
「何もしてないだろうな」
「してねーよ。ガキは論外」


　じゃーな、と言って垂れ眉の人はそっくりのつり眉の人と部屋を出ていった。ココノイさんの方に向き直ればはぁ、とため息吐いておおきなソファに座った。私はじっと黙って見つめていると、こっちに来い、と言われて緊張しながら、近づいて服を脱いだ。


「待て、何してんだお前」
「大人の人にはご主人様とはソウイウことをして、全部反抗するな、って言われました。反抗したら殺されるとも」


　手を緩めたからゆるゆるのズボンは落ちて、シャツで下半身の局部は見えるか見えないかぐらいの状態で、上も脱ごうとしていた手を掴まれて止められた。



「…早く服着ろ。オレは別にンなことがしたくて買ったワケじゃねーから」
「分かりました。ご主人様」
「だからその呼び方…て、そう言えば名前言ってなかったか」


　床に落ちたズボンをあげてまた掴んで落ちないように持つと、ほら座れよ、と隣をぽんぽんと叩いたから言われた通りに隣に座った。


「オレは九井一だ。だからご主人様以外の呼び名な」


　そこら辺に積み重なったら書類の中から1枚引っ張って漢字を私に見せてそう言った。




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