5,恋とは ページ13
⇊
「それってもしかして彼氏さんとか？」
分かりやすく興味を示したヒナちゃんは、身を乗り出してこっそりと私にそう言った。もしかしてこれは前に九井さんとした恋バナよりちゃんとらしい恋バナをしてる気がする。でも彼女の期待するような関係じゃないことに申し訳ない。
「あ、いや…なんていうか…ご主人様…みたいな」
「…？？？」
そりゃあ困惑するはずだ。よく考えて答えるべきだったな、て反省する。保護者って言った方がまだよかったかもしれない。でもそれだと九井さんがお父さんになっちゃうか。
「じゃあその人のことは特に好きとか恋してるわけじゃないの？」
「恋したことないから…どんな感じかな…？」
「え！したことないんだ！…そっかぁ、う〜んとね、」
ヒナちゃんはまた幸せそうに彼女が大好きな恋人のことを話し始める。さっきも言ったかも、て笑いながら話す彼女はとても可愛らしくて、それだけ幸福で素敵なことなんだろうとわかる。
「好きか分からないなら、私の体験とかで考えてみようよ。ん〜その人と一緒に居てドキドキしない？」
「………多分しないかな」
ほとんど一緒にいるから、最初こそ怒らせたらどうしようとかそういうドキドキはあったかもしれないけど。今となっては、九井さんのこともなんとなく分かってきたから、ドキドキすることは少ない。まあでも最近のあの三途さんトイレ事件(？)のときの九井さんにはちょっと驚いてドキドキしたけど。
「うーん〜じゃあその人のこと知りたいとか！すぐその人のこと考えちゃうとか！」
「それはすごく当てはまる、かな」
九井さんは自分の話をしたがらないから、と言っても私の方がよく話すというわけでもないし。九井さんのことは正直いつでも考えてる気がする。そう思うと、頭の中はいつでも九井さんが〜とか考えてる。私の答えに彼女は嬉しそうにじゃあじゃあ〜、と続ける。
「その人にもし恋人が出来ちゃったらどう思う？」
チク、と小さな棘で心臓を刺されたような心地がした。いつかもそう考えたことがあった。九井さんから離れないといけなくなるんだろう、て考えて不安になった。九井さんがいないと一人で生きていける気がしない。いつか現れてしまうかもしれない九井さんの隣に立つ女性を思い浮かべると鼻の奥がツンとした。
「…寂しい、悲しい、…どうしよう私九井さんに捨てられちゃうかも」
⇈
殿堂入り本当にありがとうございます😭😭
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1096人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
m(プロフ) - 初コメント失礼します。本当に素晴らしいお話でした。完結前に出会えなかったことは悔しいですが、本当に大好きな作品になりました。人間的なストーリーで心が引き込まれ、感動しました。この作品を作っていただき、残していただき、本当にありがとうございます。 (2023年2月19日 12時) (
レス) @page33 id: 0d9b393e0f (このIDを非表示/違反報告)
推しが尊い - 思わず涙がこぼれてしまいました、、、。切ないしもうなんかよかったです。私もテストヤバイ、、、、、 (2021年11月30日 1時) (レス) @page33 id: 11fe216a38 (このIDを非表示/違反報告)
パチンカスヱ(プロフ) - セツナさん» 読んでくださる方々のおかげで無事完結出来ました🥰感動していただけたんですか…めちゃくちゃ嬉しいです🥺❣️こちらこそ最後までお付き合い頂きありがとうございました❕ (2021年11月29日 16時) (レス) id: fe109e5f3f (このIDを非表示/違反報告)
パチンカスヱ(プロフ) - 楸さん» あええ大好きなんて悶えます…🤦♀️私もちょっと寂しいなって思ったりしているのでまたココくんの作品書きたいと思ってます❣️頑張ります！！最後まで読んでくれてありがとうございました🤍 (2021年11月29日 16時) (レス) id: fe109e5f3f (このIDを非表示/違反報告)
パチンカスヱ(プロフ) - アオさん» 完結までお付き合い頂きありがとうございました！！バンドエンドもいかがだったでしょうか…😌喜んでいただけていたら嬉しいです！ (2021年11月29日 16時) (レス) id: fe109e5f3f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：パチンカスヱ x他1人 | 作成日時：2021年11月12日 0時
