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大きくなる心臓の音が、また俺を緊張させる。
それでも不思議とその姿を探す足は早くなる。
怖いだとか不安だとかそんな感情はなくて、
ただ、会いたい。
伝えたい。
「みつ?」
「…横尾さんっ」
「どうしたの急いじゃって」
そうだ、横尾さんなら…
「俺、藤ヶ谷を探してて、どこにいるか知ってる?」
「太輔?ついさっき楽屋に戻ったと思うよ」
「楽屋…ありがとうっ」
「あ、みつ!」
「ん?」
楽屋に向かおうとした俺を引き止める横尾さん。
その声に振り向いた。
「今のみつ、迷いのない顔してる。それでこそいつも一生懸命で真っ直ぐな北山宏光だね。行ってらっしゃい!」
優しく微笑む横尾さんは
俺の気持ち、全部気づいてるんだ。
きっと、そばで見守ってくれていた。
「行ってくる!」
ありがとうの気持ちをたくさん込めて
精一杯の笑顔でそう返した。
思いを伝えたらどんな顔するんだろう、
何を思うんだろう。
メンバーである上に男同士。
ましてや俺なんて、あいつにとっては関わりたくない相手かもしれない。
だけど俺はもう自分の気持ちに嘘はつきたくない、
素直になりたい。
同じ気持ちじゃなくてもいい。
俺が後悔してしまう前に、
同じ夢を追いかけていたあの頃みたいに笑い合うために、
藤ヶ谷に好きだと伝えよう。
そう思いながら俺は、
未来への一歩を踏み出すための扉を開けた。
fin.
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Hina.Tama(プロフ) - けっピーさん» 初めまして、最後まで読んでくださり嬉しいです。楽しんでもらえてよかったです!藤北にも他のメンバーにも幸せになってほしいですね!こちらこそご愛読いただきありがとうございました! (2018年11月7日 0時) (レス) id: ca7c7000b2 (このIDを非表示/違反報告)
けっピー(プロフ) - 初めまして、いつも愛読させて頂いております。完結おめでとうございます。藤北の思いに他のメンバーの思いがきれいに交錯してすごく楽しみながら読ませて頂きました。最後藤北の思うが通じてよかったです。素敵な作品をありがとうございました☆ (2018年11月6日 0時) (レス) id: 229eceaf50 (このIDを非表示/違反報告)
Hina.Tama(プロフ) - いーちゃんさん» コメントありがとうございます(泣)やっぱり結ばれなきゃモヤモヤしますもんね!思い返したらこれまで全然タイトルに関係ないのではと思い、最後に歌詞を少しだけ紛れ込ませておきました(笑)楽しんでいただけてよかったです!、 (2018年11月4日 18時) (レス) id: ca7c7000b2 (このIDを非表示/違反報告)
いーちゃん(プロフ) - 交わりそうで交わらないそんな藤北の描写にやきもきしながらも最後はしっかり結ばれて、最後の言葉も歌詞に乗っかっていて、最終話のすっきり感が心地よかったです! (2018年11月4日 13時) (レス) id: d50c0806ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Hina.Tama | 作成日時:2018年10月1日 22時