失敗 ページ2
久し振りの麻衣との登校。
しかも今日は朝から天気が良く、桜も満開で、おまけに過ごしやすい気温なもんだからふたりで終始テンションMAXでいられた。
アタシ達はふたり揃って単純なヤツなのだ。
校門入って割とすぐのところに、取り壊し予定で中々無くならない使われていない旧校舎がある。
いかにもって感じの外見がゆうべの怪談の信憑性を上げている。アタシも麻衣と同じ、外進組だった。
麻衣も同じことを思ったのか、チラッとアタシの方を見てきた。
「……入っちゃう?」
「……麻衣なら言うと思った」
本当は立入禁止なんだけどね。
朝も早いうちだしまあ大丈夫だろう。
そう思って旧校舎の扉に手をかけたのが間違いだった。
「あれ、鍵開いてる」
「ほんとだー、珍しいね」
中に入ると、古い建物……というより長年放置された建物独特の埃っぽさと匂いが出迎えてくれた。
二人して慌てて顔を覆って奥へ歩み寄った。
「………ね、ねぇ麻衣?あれって……」
アタシは今自分の目の前にある機械を指差して麻衣に問うた。
麻衣もそれを不思議そうに見つめて、再びアタシに視線を戻した。
「どう……見ても、カメラだよね……」
「それもめっちゃ高そうなやつ……」
何でだろう。
その何の変鉄もないような高級ぽいカメラにすごく惹かれた。
触ってはいけないと心の中では分かっていながら無意識のうちに手がカメラに伸びるのをアタシは止められなかった。
「A!!触っちゃだめだよ!」
「えっ、麻衣………?」
刹那。
「誰だ!?」
鋭い男の声にアタシたちは飛び上がった。
そしてアタシは思わず近くの靴箱に手をかけてしまい……。
「く、靴箱が!!」
麻衣の張り詰めたような声が旧校舎中に響いたとき。
靴箱は悲鳴を上げて崩れ落ち、それがアタシ達に覆い被さるように降ってきた。
「きゃああああああ!!」
その恐怖にアタシは思わず叫んでしまった。
目を瞑ってかがみ込むようにした。
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作者名:椎名羽流 | 作成日時:2017年12月13日 0時