PARACAGE 9th【ars】 (ページ24)

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304.イザナイ。←1.24 ページ24

ショーの映像は、特にお昼のワイドショーでよく流れていたらしい。
仕事だった私達は見れなかったけど、智くんが録画していてくれた物を夜にみんな揃ったリビングで観た。

智くんはリアルタイムでも観てたから「この次に相葉ちゃん映るよ！」なんて教えてくれて。
翔さんは「雅紀って、こんなにイケメンだったんだ」ってウハハと笑った。
「黙ってりゃ、それなりなのにね」ってニノくんが笑えば、智くんが「格好良いねぇ」と穏やかに微笑む。

潤くんはダイニングテーブルに座り片頬杖をつきながら何も言わずに、でも口角は柔らかく上がってた。

照れてるかな？恥ずかしいかな？って思いながら覗き見した雅紀くんの横顔は、想像と違って真剣な表情で真っ直ぐにテレビ画面の自分を見てる。
そして、そのVTRが終わったと同時にフゥ...と深く息を吐き出した。

・

それは、潤くんの送別会と出発が一週間後に迫った夜。
夕食も終えて、お風呂も済ませて、みんなは自室に戻って私は相も変わらずソファで忠犬ハチ公。

ちょっと眠たくてウトウトしてる所に、玄関が開く音がして目を見開く。眠たかった事を悟られてはいけない！

「ただいまー」
「おかえり、お疲れ様です」
「お疲れ様。あ、眠たそう」

ソッコーでバレタ...。

雅紀くんはリュックを下ろしながら「先に寝てて良いのに」って、笑って隣に座った。

「あー...でも、今日は起きててくれて良かったかも」

そう言った彼が上着のポケットから紙切れを出して、私に渡す。
二つ折りになってたそれを広げると、ホテル名と部屋番号。
まだ私の片想いだった頃、一緒に飲みに行った帰り雅紀くんに冗談で誘われたシティホテルだ。

「明日、仕事の後そこに来て欲しいんだ」

え...？ホテルに？部屋番号まで書いてある...って事は予約してある...！？

「あー！違うっ！違うよ、Aちゃん！そーゆーコトに誘ってるワケじゃないよ！？」
「えっ？」
「いや...違うとも言い切れないんだけど...」
「え...？」
「あの...二人になれる、静かな落ち着ける場所が欲しかったって言うか...」

それはだから、どういう...

「あっ、だから、下心じゃなくって...いや、あるかもだけど...」
「......」
「でもそーゆーのとは違くて、...話があるの」
「話？」
「うん。Aちゃんに、ちゃんと話しておきたい事がある」

雅紀くんの口が少しへの字口になってる。
緊張してる時の顔だな...って、胸がギュっとなる。