PARACAGE 7th【ars】 (ページ7)

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217.スペゲス。ページ7

「あ、スペゲスって分かる？スペシャルゲストな？」

そう言うヒロシ君の横からヒョコっとテーブルを覗いた雅紀くんは、私を見て「えっ！」と目を丸くした。
アカリが私を見てるのは視線で感じるんだけど、雅紀くんから目が離せない。

だって、ついさっき「今すぐ会いたい」なんて思ってたんだから。
想い強過ぎてテレパシー通じた！？怖っ！私、怖っ！

「うっそ、Aちゃんだ！」

雅紀くんが、いつもの顔で笑う。
うぅ...何これ、泣きそう。

「え？咲、Aっちと知り合いなん！？」
「うん。知ってる子ってゆーか、仲良しな子」
「ちょちょちょちょ...仲良しって...おい、Aっち...」

ヒロシくんが完全に勘違いしてるのが分かるんだけど、何と言って説明すれば良いのか分からない居ると雅紀くんが「ヒロちゃん、何想像してんのー」って笑った。

「仲良しだけど、俺達はプラトニックだよ？」

その言葉に思わずアカリを見ると、彼女は「プラトニック...」と口パクしてる。

「何なん！Aっち、いつの間に咲と友達になってたーん！」

でもヒロシ君が気になったのはそこじゃなくって、私と雅紀くんが知り合いだった事の方らしい。
「先越されたー！咲だけにー！」とか言って雅紀くんと二人で楽しそうにイェーイってハイタッチしてる。
陽気。

私とアカリが向かい合わせに座ってたから、自然とヒロシ君はアカリの隣で雅紀くんは私の隣に座る事に。
慌ててメンストの入った袋を鞄の中に押し込んだ。

「ってゆーかヒロシ、何で咲くんと仲良くなってんの？」

アカリが至極真っ当な質問をすると、ヒロシ君は普通に「仕事でよく会うようになったからー」と答えた。
ヒロシ君はアパレルメーカーで、プレスをしてる。

「咲も昔プレスだったって話になって、そこから色んな話してんな？」
「そうなの。来シーズンのプロモーションをヒロちゃんが担当してくれてて」

え...プロモーションって事は...それって

「...来シーズンも咲くんがイメージモデル、って事？」

私が言うと、ヒロシ君は「オフレコやで！まだ解禁前やから」って唇の前で人差し指を立てた。
チラッと隣の雅紀くんを見ると、彼も同じポーズをして私に「内緒」と囁く。

うっ...私、顔赤くなってない！？
って、なってない訳がない！

バレちゃう！それはヤバい！と、ヒロシ君を見ると彼はトムヤムクンを食べて「海老ウマ！うわ、かっら！」と1人で賑やか。

アカリが何とも言えない顔で、アハーと笑った。