PARACAGE 7th【ars】 (ページ6)

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216.合流したい。ページ6

アカリがまた対面の席に戻ると、彼女のスマホに電話がかかって来た。

「ヒロシだ」
「ん、電話出てね？」
「ありがと、ごめんね」

「もしもーし？」とアカリが応えてる。
私はメンストをパラパラと捲って、色んな咲くんを眺めた。
どの顔も、完璧に『咲』だなぁって思う。

でも最後の方にあるモデル近況のページに居たのは、雅紀くんだった。
前髪をターバンで上げて、左手に缶ビールでニッと笑った自撮り。
一言には『ベランダでビールも最高、縁側でビールも最高』って書いてあって、ちょっと胸がムズムズした。

「ねぇ、A」
「ん？」
「ヒロシが来るとか言ってるんだけど...」
「うん、全然良いよ」
「ホント？毎度ごめんね」
「ううん、良いの良いの」

私がそう応えると、アカリは電話で「来ても良いけど、何なの？はぁ？内緒とか...アンタ本当に面倒臭いんだけど」とか言って笑ってる。

「はいはい、分かったから。お店はLINEしとくね」

電話を切ってテーブルにスマホを置くと、ハァと大きな溜息を吐き出したアカリは「何なんだ、アイツは」って首を傾げた。

「どうしたの？」
「んー、何かどうしても合流したいとか言ってて」
「アカリに会いたいんだよ、ラブラブだねぇ」

このこのー！ってからかうと、アカリは「違うってば」って苦笑いしてから「何か様子がおかしいんだよね」と呟いた。

「『お前、心の準備しとけよー』とか言ってんの」
「心の準備？あ、何かサプライズなんじゃないの！？プロポーズとか！」
「私、Aと一緒に居るよって言ったのに？」
「あー...じゃあプロポーズじゃないかな。残念」
「ってゆーか、こんな人前でプロポーズなんかされたら公開処刑でしょ」
「えー？思い出になるよ？」
「私、そうゆーの苦手だってば！」

そんなコト言いながらも、アカリはちょっとソワソワしてて。
私も、何が起こるのかワクワクしてて。

30分ほどして、アカリのスマホにヒロシ君から届いたのは『今から店入るからな！覚悟しとけや！』ってゆー謎のLINE。

「はぁ？何なの、ヒロシ。喧嘩売ってんの？」

アカリはしかめっ面になってたけど私は面白くてケラケラ笑ってたら、店員さんがヒロシ君を私達の席に案内して来た。

「お待たせー」
「ヒロシ、ちょっとアンタ...えっ...？」

ただ、ヒロシ君は一人じゃ無かった。

「何で！？」
「ビックリしたやろ！驚き桃の木やろ！」

「スペゲスさんやでー！」って笑ってるヒロシ君の後ろに居たのは、雅紀くんだった。