PARACAGE 5th【ars】 (ページ33)

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173.無防備。ページ33

「ニノくんは悪くないんだから」
「...でも」
「何かが悪いとすれば、タイミングが悪かっただけだよ」

そう言うとニノくんがハァ...と溜息を吐く。

「見られたんだよ？」
「うん」
「アイツ、完全に勘違いしてるんだよ？」
「...うん」
「やでしょ。絶対にやでしょ」
「......」

ドカっと隣に座って、顎に手を添え何か考えてる。

「やっぱオレ、ちゃんと説明して来るわ」
「何を...」
「オレが失恋した経緯と、Aに慰めて貰った経緯」
「...でも、そんなの面倒でしょ？」
「はぁ？面倒な訳あるか！オレのせいでAの恋愛に影響出るのは巻き込み事故過ぎるだろ！」
「巻き込み事故...？」
「何だよ！文句あんのか！」

さっきまで謝ってたはずなのに、何故か怒ってるし。

でも、もう泣いてない。
その姿が泣きやんだばっかりの子供みたいで、思わずプっと吹き出してしまった。

「...何笑ってんの」
「え？」
「言っとくけど、お前そこそこピンチなんだかんな！？」

ピンチ...そうか...。雅紀くんの感じだと私とニノくんに何かあるって思ってそう。
目が合った時の雅紀くんの表情を思い出して、頭の端っこがズキっと痛んだ。

「早い方が良いし、オレ今から話すわ！」
「あ、でも雅紀くんお風呂入るって...」
「風呂に乗り込む」
「えぇ！？」

待って待って！と私が止めるのも聞かず、ニノくんは部屋を出て行った。
その直後にお風呂場を開ける音と、「うわぁ！何ーっ！？」って雅紀くんの叫び声。

「ただいま、何の騒ぎなの...」
「あ、潤くん」

お風呂の方向をしかめっ面で見ながらリビングに入って来た潤くんに「おかえり」と挨拶。
ってゆーかニノくんとのアレ、もしかしたら雅紀くんじゃなくて潤くんに見られた可能性もあったのか...！

無防備過ぎた...！私達、無防備過ぎた！
いくらニノくんが私を女として見て無いにしても、性別上は異性なんだから。

「どうした？」

一人でアワアワしてると、潤くんに顔を覗き込まれた。

「あ...ううん！潤くん、ご飯は？お蕎麦ならあるよ！」
「いや、今日は食って来たから」

そう言いながらソファに座ってネクタイを緩めてる。
セクシーの塊...とか思ってたら、お風呂場から「せめてニノちゃんも脱いでよ！」「はぁ！？お前の前で裸体になる訳ねぇだろ！」って大声の会話が聴こえて来て思わず二人で顔を見合わせた。

「...マジで何あれ」
「何なんだろうねー、アハハー」

とりあえずシラを切る。