PARACAGE 5th【ars】 (ページ11)

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151.最終兵器。ページ11

「僕、全然そんなんじゃないんですよ」

翔さんは少し気まずそうに笑った。

「所謂、優等生とかじゃなかったし」
「え！無遅刻無欠席、皆勤賞！ってイメージなんですけど...」
「アハハッ！全くですよ。むしろ、その逆です」
「えー...」
「学校に行っても保健室に入り浸ってるような生徒でした」

何なんだ、そのギャップは...
今のこの聖人君子のような姿からは想像できない、そんな過去...

そんなの...そんなの、女子が好きなヤーツじゃないか！この人はまだそんな武器を持ってたって言うの！？

「翔さん、そろそろ死人が出ますぜ...」
「えっ！？何の話ですか？」
「あ...こっちの話です」

えぇ？って不思議そうに笑ってる翔さん。

「あ、そうだ。カズとは保健室で知り合ったんですよ」
「保健室で？」
「はい」

どんな出逢い方なんだ...？
でも部活とか以外で学年違う二人が仲良くなるには、何か理由があるはず。
それが保健室の出逢いなのか。

「さて！そろそろ帰りますか！遅くなると潤に怒られる」
「はい！」
「本当は夕焼けが見たかったんですけど、今が夏なの忘れてました」

ただいまの時刻、17時過ぎ。夏。
まだ陽は沈まない。

「凄く綺麗なんですよ、ここからの夕焼け」
「そうなんですかー」
「Aさんに見せてあげたかったんですけどね」
「あら」

翔さんも「あら」って笑って

「でも、そういう景色は好きな人と見た方が良いですね」

と、私を見た。

思わず、まだ青い空の広がる景色の方に顔を向ける。
翔さんに見られると、何か色々と見透かされそうだ。

「あ！潤からLINE来てる！本当に帰らないと！」
「え...あ、ホントだ！」

隣でスマホを見てた翔さんに倣ってスマホを見るとグループLINEが何件か入ってて、その中の一件が潤くんからの『肉はまだか』
そして『撮影終わったー！帰るよー！』って雅紀くんからのメッセージが10分前に届いてた。

家に帰ると、もう庭でバーベキューのセッティングが始まってて智くんがコンロに炭を入れたりしてる。
タオルを首に巻いて、やる気満々。

「二人ともおかえり」
「遅くなってごめんねー」

潤くんに翔さんがお肉を手渡してる横で、ニノくんはもうビールを飲んでる。

「ニノくん、始めるの早くない？」
「労働の後の飲酒は最高だな」

「お前、軽い袋選んで持ってたくせに何が労働だ！」って、お肉の袋で両手が塞がってる潤くんがニノくんに頭突きした。