2 ページ24
"小野武正"
画面に表示されている文字は、彼だった。
途端に心拍数が上がって、グッと息を飲む。
恐る恐る応答し、耳に画面を持っていくと、「もしもし?」と、想っていた相手の声がした。
「も、もしもし...」
「突然電話してごめん、今大丈夫?」
「全然大丈夫だよ、何か...あった?」
「あのさ、あー...その」
「うん」
「......こんな時間だけど、どうしても会いたくなってさ」
"電話しちゃったわ"
なんて、少しはにかんだような優しい声で彼が笑うから、それだけで嬉しくなって、自分の単純さに内心苦笑いする。
わたしも一緒のこと考えてたよ。
そう返すと彼は安心したように、"そっか、良かった"って言って。
落ちていた私の心を、彼は一瞬で引っ張りあげていく。
会える、って思ったら、居ても立っても居られなくなって、1秒でも早く彼の顔が見たくて、気付いたらカバンを掴んで家を飛び出していた。
「たけまさ......!」
「名前、ッうおっと...!」
深夜の人気のない、家の近くの公園。
電話を繋いだまま、私は全速力で走った。
散々危ないから待っててって言われたけれど、早く会いたいから、と言うとそれ以上は言われなかった。
やっと着いて見えた、背の高い、街頭に照らされた金髪に心臓が愛しさで締め付けられるのを感じて、彼に目掛けて恋愛ものの映画もびっくりなぐらい大胆に胸にダイブした。
勢いに押されて少しフラついたが、彼はしっかりとその身体で抱き留めてくれた。
そのままギュッと抱きしめられて、久々に感じる温もりに顔が熱くなるのを感じて。
ちょっとだけ見上げてみれば、お互い目があって笑いあった。
「...もう過ぎちゃったけど、お誕生日おめでと、武正」
「...正直さ、忘れられてたかと思った」
「ごめん...」
「許す!」
カラカラと笑って頭を撫でてくれる彼は、本当にどこまでも優しい男だ。
いくら一人で悩んでいても、彼の言葉一つで、行動一つで私はもとの自分に戻れてしまう。
だから、好きなんだ。
「また今度、お祝いしなおすからね」
「ほんと!?めちゃくちゃ嬉しい」
「言葉だけじゃ感謝し足りないから...ね!」
「!...じゃあ期待してる」
"生まれてきてくれて、ありがとう"
そう言って、背伸びして頬にキスを飛ばすと、もっと甘い口付けが降ってきた。
午前零時の逢瀬
76人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミナ - お返事ありがとうございます!此方こそいきなりスミマセンでしたm(__)mはい!全然急ぎでは無いので大丈夫ですよ(*^_^*)いつも楽しく見させて頂き有難うございます! (2016年9月15日 17時) (レス) id: 2806de172c (このIDを非表示/違反報告)
篠崎 牡丹(プロフ) - ミナさん» ミナさん、再びのコメントありがとうございます!了解いたしました。またお時間を頂きますがお待ちいただければと思います!ご期待に添えるよう尽くしますのこれからもよろしくお願い致します。 (2016年9月15日 15時) (レス) id: 36ed8eb340 (このIDを非表示/違反報告)
ミナ - 遅くにスミマセン(泣)今また見ててこの先が凄く気になりリクしたくなりました!このお話の続きを書いて頂けないでしょうか?どちらと結ばれるかは牡丹さまにお任せします!全く急ぎでは無いのでお願いできますか?修羅場等入ってたら嬉しいです! (2016年9月15日 2時) (レス) id: 8be0271ad6 (このIDを非表示/違反報告)
篠崎 牡丹(プロフ) - 咲龍さん» 咲龍さん、コメントありがとうございます。一気に読んで貰えてとても嬉しいです。リクエスト承りました!順次消化させていただきますので、気長にお待ちいただければと思います!よろしくお願い致します。 (2016年9月14日 11時) (レス) id: 3c506cdcd8 (このIDを非表示/違反報告)
篠崎 牡丹(プロフ) - ミナさん» ミナさん、お久しぶりです。遅くなりましたが、喜んでいただけたようで一安心です!書いてて、ツイン組の取り合いは高度だなと思いました笑。なんというか、計算高いイメージです。こちらも書くのが楽しかったです!リクエストありがとうございました! (2016年9月14日 11時) (レス) id: 3c506cdcd8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:篠崎 牡丹 | 作成日時:2016年8月25日 23時