運命を信じさせて/trnk ページ1
"運命の人"
そう信じてやまなかった彼に綺麗さっぱりと別れを告げられたのは、つい数時間前のことだった。
その日はたまたま休日で、彼の方から会えないかと言ってきて。
なんとなくおかしいな、なんて思いながら待ち合わせ場所のカフェに入って。
それからは、曖昧だ。
どう返事をしたのかさえあまり覚えていないが、彼の言った「他に好きな人が出来た」って言葉だけはやけに耳に貼り付いていて、「なら仕方ないか」と諦めたんだろう。
やけにあっさり事は進んだ。
私を好きでなくなったって事は、彼は私の"運命の人"ではなかった訳で。
私も彼の"運命の人"じゃなかった訳で。
不思議と繋ぎ止めようとはしなかった。
そのままフラフラとした足取りで家路について、玄関を開けて、閉めて、座り込んだ。
呆然としていてその時は涙も出なかったのに、家に着いた瞬間に私の涙腺は壊れてしまって。
とめどなく溢れる雫はいくら落ちてもなくならない。
玄関先にシミを作っていくが、気にしていられなかった。
必死に声を噛み殺す。
泣きたくなかった、惨めさを自覚したくなかった。
大声をあげてしまったら、間抜けな自分が余計鮮明になってしまう。
それが嫌だった。
暗い玄関先で蹲って、泣き続けることもう何分。
突然、肩にかけていた鞄からケータイの音がした。
それは着信を知らせるもので、恐る恐る確認をする。
"寺中 友将"
その文字列に少し狼狽えて、出ようか出まいか指を右往左往させる。
何故このタイミングなんだろうか、何故彼なんだろうか。
そう思いながら数十秒、まだ着信は止まない。
震える声を上手く抑えられるか心配になったが、揺れる指先はゆっくりと通話ボタンを押していた。
「もしもし...?」
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ミナ - お返事ありがとうございます!此方こそいきなりスミマセンでしたm(__)mはい!全然急ぎでは無いので大丈夫ですよ(*^_^*)いつも楽しく見させて頂き有難うございます! (2016年9月15日 17時) (レス) id: 2806de172c (このIDを非表示/違反報告)
篠崎 牡丹(プロフ) - ミナさん» ミナさん、再びのコメントありがとうございます!了解いたしました。またお時間を頂きますがお待ちいただければと思います!ご期待に添えるよう尽くしますのこれからもよろしくお願い致します。 (2016年9月15日 15時) (レス) id: 36ed8eb340 (このIDを非表示/違反報告)
ミナ - 遅くにスミマセン(泣)今また見ててこの先が凄く気になりリクしたくなりました!このお話の続きを書いて頂けないでしょうか?どちらと結ばれるかは牡丹さまにお任せします!全く急ぎでは無いのでお願いできますか?修羅場等入ってたら嬉しいです! (2016年9月15日 2時) (レス) id: 8be0271ad6 (このIDを非表示/違反報告)
篠崎 牡丹(プロフ) - 咲龍さん» 咲龍さん、コメントありがとうございます。一気に読んで貰えてとても嬉しいです。リクエスト承りました!順次消化させていただきますので、気長にお待ちいただければと思います!よろしくお願い致します。 (2016年9月14日 11時) (レス) id: 3c506cdcd8 (このIDを非表示/違反報告)
篠崎 牡丹(プロフ) - ミナさん» ミナさん、お久しぶりです。遅くなりましたが、喜んでいただけたようで一安心です!書いてて、ツイン組の取り合いは高度だなと思いました笑。なんというか、計算高いイメージです。こちらも書くのが楽しかったです!リクエストありがとうございました! (2016年9月14日 11時) (レス) id: 3c506cdcd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:篠崎 牡丹 | 作成日時:2016年8月25日 23時