【名探偵コナン】わたしの光【安室透】 (ページ25)

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２４話ページ25

「降谷さん、頼まれていた資料です」

公園の端にあるベンチ。
そこで後ろに座っている風見から資料を受け取った。

「あぁ、ご苦労だったな」

そう労う言葉をかけると、資料の入った封筒を鞄にしまい立ち上がる。

「なぜこの少女を調べたんですか？」

立ち去る直前に声が聞こえた。

風見が疑問に思うのも当然だ。
彼女は見るからに真っ白な存在であるから。

「さぁな」

そう言うと僕は公園から立ち去った。

ガチャリと扉を開け部屋に入る。
今日は夜に組織の仕事しか入っていないため家に帰って来たのだ。

靴を脱ぎベッドに座る。
そして風見から受け取った資料を封筒から出した。

「…やはりそうか」

そこには母親が病死したという事実が書き記されていた。

コナンくんから聞いた彼女の言葉

＂お母さんに苺買っていこうよ、私も食べたいし＂

これは彼女の母親が移動出来ない状態であることが明確であった。
何故なら彼女は父親と"行かなければならない"所があると言っていたからだ。

つまりこれから行く場所は家ではない。

そうなると、わざわざ食べ物を買って行くような母親の居る場所は限られる。

まず考えるのは母親が入院中の状況だ。
しかし、それも彼女の状態からしてない。

彼女が母親のことを聞かれたときの反応が尋常じゃなかったからだ。
普段が温厚なら尚更である。

するとおつかいだと嘘をつく必要があり、母親の状態を隠そうとする理由は一つに絞られる。

＂もう既にこの世にいないから＂

それしか考えられなかった。
もちろんそれ以外のことはないとは言えない。

だが、何故かその推理が正しいような気がしていた。
探偵としてじゃなく、僕自身の勘だ。

そして案の定この結果ときた。

恐らく男性恐怖症である彼女。
そんな彼女に男の僕が何をやっても無駄かも知れない。

だが

「…助けてあげたい」

いつの間にか心の底からそう思っていた。