兄弟愛 ページ25
.
尊人｢玄武高専ナメんなよ、野郎には甘くねぇからな？！｣
そう言って私達...正確には光輝、海司、陸に忠告する。
尊人｢お前ら全員ギュ――ってやるぞ｣
そんな脅し、効くわけない...と思いきや海司と陸には効果抜群らしい。
そんな私達の元に近づいてきた京極竜。
尊人｢...竜｣
さっきまで私や光輝を睨んでいた時とは真逆で俯いている。
まるでこれから怒られるのが分かっている子供みたい。
尊人｢お前バカだな〜｣
竜｢へ？｣
怒ると思いきや、優しいその声に実の弟も驚いている様子。
尊人｢俺の夢壊さないようにとか思ってあの子に金払ったんだろ？｣
竜｢...ごめん｣
尊人｢ったく、金もねぇくせに｣
結構兄想いなんだな〜っていう考えの後、
兄の為だけに金出すって実はブラコン？なんて疑惑が私の頭の中に浮かぶ。
尊人｢けどお前のそういうところ...俺は大好きだ！！！｣
竜｢兄貴...！｣
A｢え？｣
想定外すぎるその展開に私は本日２回目の間抜けな声を出した。
尊人｢竜！｣
そう言って腕を広げる尊人さんに飛びつくその弟。
...いや、普通にさ？
仲よし兄弟だなって思うよ、普通の展開ならね？
ただこれまでの流れ的に私からしたら何見せられてんだって感じなんだけど。
尊人｢ったく、帰るぞ｣
竜｢うん！｣
...本当に兄貴大好きだな。
私に会う時はとにかく喧嘩腰で愛想も何もなかったのに、尊人さんが前だとこんなにも子供みたいに笑うんだ...。
そう思って私は２人を見ていて、あれほど憎たらしいと思っていた京極竜を可愛いとさえ思ってしまった。
尊人｢ギュ―ってやるぞ｣
尊人さんが先ほどと同じように右手をギュっと握るそぶりを見せる。
それに続いて京極竜も真似をする。
海司｢...A？｣
京極兄弟の様子を見ていると、不意に海司に声をかけられた。
A｢ん？｣
海司｢いや...ボーっとしてたから大丈夫かなって...｣
A｢...大丈夫｣
海司が何を心配しているのか分からないけど、とりあえずそう答えておく。
A｢光輝、立てる？｣
まだお腹の方を押さえて痛そうにしている光輝にそう声をかけ、ゆっくりと立ち上がらせる。
竜｢マジなのか、あの女の事好きだって｣
尊人｢あぁ｣
竜｢思ってた子と全然違うのに｣
尊人｢あぁ、おもしれぇじゃん！｣
竜｢ドMは兄貴じゃん｣
尊人｢そんなことねぇよ〜｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 792人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちゃそ
| 作成日時：2019年3月2日 9時
