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日下部「……A?」
声の方を振り返ると、背筋が凍った。
『…お、お前は……』
炭治郎「…日下部司!!」
炭治郎が、すかさず私を背後に隠した。
そして強く私の手を握っていた。
日下部「やっと会えた!探していたんだ。あの日からずっと…。」
日下部はゆっくりと私の方へ歩き出した。
炭治郎「それ以上近づくな…!」
日下部「…はぁ…本当に邪魔な男だな。どいてくれ。」
炭治郎「…っ!うわっっ!!」
『炭治郎!!』
日下部が炭治郎を突き飛ばした。
炭治郎「…やめろ!Aに近づくな!!」
『…っ!』
日下部はゆっくりと私に近づいてきた。
日下部「何故…ここまで僕が君に執着するか、分かるかい?」
『…?し、知らない…』
日下部が不気味な笑顔を浮かべて私の腕を掴み、こう言った。
日下部「僕はAの事を幼少期から知っている…君が遊郭にいる時からだ。」
『…は、?』
遊郭の時から…私を知っている?
ドクンドクンと心臓の鼓動が早くなり、私はその場で腰が抜けて座り込んでしまった。
日下部「おっと、危ないなぁA…ほらおいで?」
立てなくなった私を日下部が抱き抱えようとした時…
パシッ
炭治郎「いい加減にしろ…。」
炭治郎が、怒った様子で日下部の腕を掴んだ。
日下部「しつこいな、君は。邪魔だと言っているだろう。」
炭治郎「お前は一体何がしたいんだ…。どれだけAを傷つけたら気が済むんだ!」
炭治郎の腕を掴む手が強くなっていく。
ピシッ
日下部の腕が折れる音が聞こえた。
日下部「…離してくれよ。これからAは、僕と一緒に遊郭へ行き、二人で幸せに暮らすんだ。」
『…なんで…私の事を…知ってるんだ?』
力を振り絞って立ち上がり、震える声で日下部に聞いた。
炭治郎は急いで日下部を掴んでいた腕を外して、私の肩を支えてくれた。
日下部「…あれは僕が初めて遊郭に行った時のことだった。どの店の女もくだらない者ばかり、品がなく…汚らわしい女で溢れていた。」
日下部がこっちに近づいて、私の前で膝をついた。
日下部「…でも君は違った。僕の中で君は原石のように輝いていた。」
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作者名:葉紅 | 作成日時:2021年7月15日 1時