41.yb ページ42
しつこく圭人を質問攻めにして、やっと説明下手なりに説明してくれた。
圭人が言うに、涼介は芝居をしていた...と。
自らの意識を雄也の方へ向けることで、慧への想いを隠していたらしい。
圭人や雄也にも読めないものなのかと聞くと、上手い役者は心から役になりきるものだと一蹴された。
つまり、涼介の気持ちは未だ慧にある。
故に雄也の身を心配することは無い、と。
とはいえ涼介には前科があるので、警戒はしておく必要があると判断できる。
「...わからないのはね。どうして涼介が慧ちゃんを捨てなければいけなかったのか、これだけ。まさか次男の涼介に宏ちゃんより先に縁談が来るとも思えない。仮に来たとしても、断る権利は涼介にある。」
「他に好きな子でもできた、とか。」
「ちょっと失礼な話になっちゃうけど、この国に慧ちゃんより綺麗な女の子なんていないよ。」
「雄也は除いて、な。」
「ぁ...そ、そうだね。」
「でも、わからない。俺はそもそも外に出たことがない。外の世界の者共がどんな容姿をしているか、何も知らない。」
「...慧ちゃんと雄也くんが一番だと思うよ。彼らが一番綺麗。」
「それならますますわからない。涼介の目的は何なんだ。」
「それさえわかれば、慧ちゃんも納得するかもしれないのに...。」
なんとか止血に成功し、清潔なタオルで首元を覆われた慧の頭を軽く撫でながら圭人が呟く。
...何故、こいつはこんなにも他を思いやれるのだろう。
自分だって抱えているものは大きいはずなのに、僻むことも羨むこともせず...少なくとも表には出さず、健気に毎日を誰かに捧げているように思える。
特に慧や涼介に対しては、少しくらいの我儘なら困ったように微笑んで首を縦に振る。
今だってそうだ。
よく考えてみれば、圭人はただ巻き込まれただけ。
当事者は俺と雄也、涼介と慧。
それなのに...
「ごめん...ごめんね、慧ちゃん...っ」
この清い心の持ち主に涙を流させるほど、俺達に価値があるのだろうか。
この一件に意味があるのだろうか。
「...あるよ。」
...っ!?
「皆、圭人とって大切な存在なの。だから巻き込まれただなんて思っていないし、当事者かどうかなんてそんなのは問題じゃない。それに...圭人、宏ちゃんが思っているほど良い子じゃな...っ!?」
「...!!!」
圭人が突然言葉を止めた。
驚いて固まる圭人の視線の先は開け放たれたままの扉。
何故...何故ここに、王が...?
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まなお(プロフ) - ひかやぶ愛ingさん» だから次は全員メインに持っていく!!頑張る!!!! (2018年11月9日 21時) (レス) id: 36d920dbb6 (このIDを非表示/違反報告)
ひかやぶ愛ing - あるのね笑まぁいいんじゃない?それも。幅広い人に見てもらえるしね〜! (2018年11月9日 19時) (レス) id: 2e64229429 (このIDを非表示/違反報告)
まなお(プロフ) - 岡本茉白@関西寄りのJUMP担さん» ありがとうございます!基本ハッピーエンドが好きなので、できる限りハッピーエンドに近くなるように心掛けているのでそう言っていただけると嬉しいです!今回もお付き合いいただきありがとうございました!! (2018年11月8日 22時) (レス) id: 36d920dbb6 (このIDを非表示/違反報告)
岡本茉白@関西寄りのJUMP担(プロフ) - 分かっているのですが、やっぱり少しだけ、「今回はHAPPY ENDじゃないのかな?」って勝手に予想しちゃったり...笑 次の作品も楽しみにしております!ゆっくりとまなお様のペースで、頑張って下さい♪長文すみませんでした! (2018年11月8日 21時) (レス) id: 6d6ad6adbc (このIDを非表示/違反報告)
岡本茉白@関西寄りのJUMP担(プロフ) - 完結おめでとうございます!!今回のお話は、私にとって色々考えさせられる内容でした...1話1話にハラハラドキドキしていましたが、皆幸せになってくれて良かったです♪まなお様ですので、内容がどんなに複雑でも最後は、必ずHAPPY ENDにして下さると (2018年11月8日 21時) (レス) id: 6d6ad6adbc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まなお | 作成日時:2018年9月1日 10時