失楽のウンディーネ 6【イナイレ】

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貴方side


そんな訳で旅の合間を縫って長崎街道を走り、私を含めた一行は色々な菓子を見て行った。


私は、身元不明の彼───名無しの彼(ジョン・ドゥ)───と共にその通りを見物している。


『あー調査結果だが、何処にもない。


何にも該当しない(・・・・・・・・)、そもそも戸籍が無いし、コイツの話している言語はサンスクリット語だ。


今時2万人も居ねェよ、未だに発見されていない───身を隠しているかもしれない───少数民族の1人かもしれねぇ』


大変なことになったとボヤく、わざわざ報告しに来てくれた───何処で合流したのだろう、ちっとも気付かなかった───ハンスの言である。


「なあ見てみろよ、ひよ子！！ひよ子あるぞ！！」


「ああ、あれ元々飯塚市が本店なんッスよ」


「まじで！！？」


そういった(人身売買)組織(シンジケート)に売り飛ばされたと、もしくはその直前と考えた方がいいだろう。


何故って、彼はあの時海を見たことが無かったのだから、旅行なら海くらい飛行機の上から見るだろうし、船なら言わずもがな。


在日とは考えずらい、彼はこの辺りの地理を把握していなかった。


隣の席では雷門イレブンの面子がほぼ初めてとも言える息抜きにはしゃいでいる様だった。


「いや、行くとすればさかえ屋だろう、北九州の方に上がれば寄りたいな」


「ああなんばん往来か」


「カステラ食べたいな」


「バカ、カステラは長崎だろ」


「待て井筒屋長崎フェアやってるぞ！！」


「まじッスか！！？」


隣の席にいる少年はその様子を不思議そうに見ていた、目を丸くする程でもないが、何をしているんだろうと少し困っている様にも見えた。


「千鳥屋近くにないか？千鳥饅頭食いたい」


「いや千鳥屋つったらチロリアンだろ」


「俺さぶれ派」


「大納言清澄」


「鬼道お前しっぶっ」

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