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「いえ、今回のは予期せぬものであり、長官自らがそこまでする程でも無いかと」
「ええ、こちらも同じ意見です」
江崎さんに続いてこちらも声を出す、彼も相当びっくりしていたようで、声を出すのが若干遅延があったことに長官は苦笑した。
「まあそう言うな、全国支部に緊急依頼を出してしまった以上、適切な対応は必要だよ。
そうだな……首席昇格は……ああダメだ、人材が居無さすぎる、自動的になるだろうな。
……何がいいかな？」
「いえ、こちらからは何も」
「そう言うな、俺だってそう言われると困ってるんだ……」
眉間に増えたシワに何も言えなくなり、とりあえず要望をいくつか言おうとする、……。
「恐れながら、私の恩人である江崎さんが私よりもクリアランスが低いことが少しばかり疑問で」
無欲だなぁと彼は笑った、隣の江崎さんは苦笑していた。
「分かった、そうしよう、しかしそれだとあまりに少なすぎるな。
他は何がいいかな？」
「他……」
「……有栖川は、自らの記憶について探しているようです」
「何故それを」
「ああ、ハンスがな」
やっぱりか。
「そうか、記憶か、やっぱりロバートのことは言うべきかなぁ」
「いえ、前支部長のことは既に把握しています」
「そうなのか、……もしかして影山と接触したか？」
「ええ、追っている者は居ますか」
「いや、今はいないな」
結局そんな会話を繰り返して、私は前支部長に関する記録と報奨金を、江崎さんは同じく報奨金、そして特別諜報員としての地位が送られるらしい。
長官が去ると、私達は一気に気が抜けるように疲弊した表情になっていたらしく、近くのホテルで全員爆睡していた。
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作者名：久坂朧@三色団子と朧は神 | 作成日時：2020年9月17日 21時
