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解きなさいと言われ、私は元の体勢に戻る、座っていた椅子に長官を誘導した。
「ありがとう、ところでこの子は……？」
「巻き込んでしまった方です、私個人の協力者で……」
「そうか、そうか、分かった。
彼の働きぶりは」
「はい、とても役に立っております、ですが彼も経験が未熟なので組織に置くのは残念ながら」
彼は組織に目をつけられてはいけない、彼は結局ただの一般人なのだ。
「報酬の分け前は」
「私の今月の収入から3割、引く予定です」
「分かった、襲撃の件については江崎から聞いているよ、江崎と有栖川以外は下がっていなさい」
部下たちがそれに了解の意を示す、不動はハンスに連れられて退室した。
ガチャりと音がして、ふう、と彼は息を吐く。
「さて、何から話そうかね……まずは今回のク・デタについてだ。
敵対組織が関与しているのは勿論のこと、末席のミシェルは家族を人質に取られていたようでね。
アリサも残念ながら前々から声をかけられていたそうだよ、人質もいる」
「彼女に？」
「弟らしい、もう殺されていたよ」
「…………」
絶句した、真逆彼女に弟が居たとは。
長官は目を閉じ、いつかの俳句を言った。
「ほら、確か日本にあったろう……夏草やつわものどもが夢の跡」
「ああ、ありましたね」
「今回は“海原やこむすめどもが夢の跡”か」
「ははは、そうだな、言い得て妙だ……チェチェン紛争はまだ続いているからな。
まあそれはともかくだ、君たちの報酬の件についても話さなければな」
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作者名：久坂朧@三色団子と朧は神 | 作成日時：2020年9月17日 21時
