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不動side
さっきから凄い量の薬を飲み下す彼女に驚愕する、そりゃあ多少は服用しても問題ないだろうが、この量は流石に異常じゃないのか？
彼女に問うてみると、これが任務中の通常量らしく、俺が聞くまで何も疑問に思わなかったそうだ。
この一言だけでどれだけ身体に負荷をかけているかが想像出来てしまった、頭を掻く。
そしてそのまま俺の片膝で眠ってしまった……眠ってる？これ意識が飛んでないか？
急に静かになった車内で、起きているのはさっきの刑事と俺だけなので、必然的に話すことになった。
「何故あの場所に居た」
「散歩だよ、悪ィか」
「ホテルからは2キロも離れていたのにか？」
「機嫌が悪かったんだよ、察しろ」
いい加減鬱陶しくなってきた時、声色が変わったことに驚き、顔を上げた。
「……Aのことは、本名で呼んでたな」
「……悪ぃかよ」
彼女の詳しいことは影山の所で知ったが、それだけだ、あの時俺は雷門の奴だと知って話しかけただけ。
素性を知っただけで、何となく好意を覚えただけ、後は何も知らない。
俺はそう答えた。
「いや、……」
「鏡って言ってたな、父親か？」
今度は俺の番だった、これまでのお返しだと言う様に質問攻めする。
彼が有栖川と呼んでいたあの男には興味があった、目の色が似ていたので何となくマークしていたのだ。
「…………ああ」
「まああの態度じゃあ何かあったんだろ、こいつも居心地悪そうだったし」
「……そうなのか」
記憶が無いと言っていた、組織に記憶処理出来るやつがあるって聞いたが、彼女のことだ、自ら消す様な真似はしていないだろう。
じゃあ後は精神的な何かが作用した、としか考えられない、余程のことがない限りこんなことは起きないだろうから。
彼らはきっと記憶が無いことを知っている、だが原因が分かっていないようだ、身近に居たのにも関わらず。
「このコの周りは、ロクな奴が居ねェのな」
皮肉を交えて呟いた。
勿論、俺も含めて。
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作者名：久坂朧@三色団子と朧は神 | 作成日時：2020年9月17日 21時
