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「いやぁしかし、翠のあの気迫にはちょっとびっくりしたな！」
「ほんと、かなりスカってした！」
夕時、古き良き校舎から流れ出る私達、背中が嫌に重い私とは違い、空は晴れ晴れとした橙色だ。
上から順番に円堂、財前さんと中々の笑顔を私に向けるので、苦虫を噛み潰した様な顔をしてしまったが、苦笑して顔を直した。
「いや、今思い直せば飛んだことを言ったよ……。
少し悪いことをした気分だ」
「いいんじゃない、私達もちょっと心が軽くなったわ」
「……済まない」
貴女からそう言われると、私がまだまだ大人になりきれないことを思い知らされるよ。
そう言って顔を掌で抑えると彼女はびっくりしたように私に顔を向けたのが少し見えた。
円堂たちは今出来ることをしようと、早速練習に励む。
周りの人は中々いい笑顔で、やっぱり彼には、いや彼らには、私には無いものを持っているんだなあと妬ましく思ってしまう。
己の黒い感情に真面に向き合えなくて、自己嫌悪に陥った、きっと不安薬とかの離脱症状の所為だ。
長い前髪をくしゃりと握る。
「それは違うわ、きっと今私たちに必要なのは私達のために怒ってくれる人なのよ」
「……そうだといいんだが」
「翠、カッコよかったわよ」
「……そっか、」
……きっと。
こんなのでも、こんな薄暗い所で住んでいるやつにかっこいいと呼ばれる資格はきっとないんだ。
こんな意地汚いやつだと知れたら、きっと君たちは軽蔑するだろう。
「済まない、ありがとう」
わかるとも、私は非道い人間だから。
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作者名：久坂朧@三色団子と朧は神 | 作成日時：2020年9月17日 21時
