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不動side
「逃げるって何処に、」
人のいない場所、と満身創痍の彼女は俺に手を引っ張られ、激戦を繰り広げていた敵側の2人から彼女を引き離す。
彼女が2人から少し遠ざかると、身体から力が抜け、ばたりと倒れ込んでしまった。
夜の散歩をしていた。
どうにも眠れなくなった、俺がホテルを出たのが間違いだったのだろう。
そんなことも知らない俺はサッカーボールを持って路地裏からビル群の隙間から隙間へと足を進める。
エイリア皇帝陛下とか言うやつに目を掛けてもらえば偉くなれたのかもしれない、影山と手を組んだ、そこまではいい。
が、二流と言われた、クソっ、見る目のねぇ奴ら、いいチャンスだったのに。
そんな不快感を胸に歩き続けていた、深夜が回ってもそれは続いて気付けば何処か分からない場所だった。
地名を見て、結構遠くまで来てしまったのだと悟る、しかも人っ子一人いなけりゃ気配がない。
そろそろ帰った方がいいかと思い欠伸をしたその時、何とも言えない金属音が付近で響く。
最初は好奇心だったが、気配を消しながらその姿を見ると、何となく肌色の濃いやつが百以上の黒服と戦っていた、彼の得物は拳銃と暗器(？)だった。
これは関わってはいけない、サッと血の気が引くのが分かった、と同時に彼の青いコートがチラチラと街灯に照らされてよく映えた。
……ああ、この外套、あいつの。
直ぐに、何となく彼女の今いる立場を理解した、あんな馬鹿デカい組織にいるんだ、しかも支部長、彼女が動かない筈がない。
しかもアメリカ支部だ、彼は遠目から見ても外国人だし、部下の可能性がある、そうだ、彼は例の“ハンス”とかいう奴かもしれない。
ということは、彼女は例のあの危険人物2人と交戦しているのか？
危険じゃないのか？
「……あ、」
途中目が合った、男なのに綺麗なアメジストの色だった、彼女は真反対の翡翠色。
俺とは正反対に綺麗な目をしていた、彼が暗器を持ち出したので、俺に向けられるかもしれない、やばい、敵認定されちゃってる。
直様反対方向へと走り出した、確かこの近くは海があったはずだ、そこまで行けば追ってくることもないだろう。
ここで判断を間違えた。
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作者名：久坂朧@三色団子と朧は神 | 作成日時：2020年9月17日 21時
