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貴方side
何とも聞き捨て難い言葉を残して不動、もとい帝国側の人間たちはこれからのことを決めていた。
彼らは愛媛の近くのホテルにでも一泊してから帰るのか、怪我人は病院へ、その他の人間はそのまま件の宿へと去っていった。
風丸は何だか挙動不審だ、いつも通り接してくれればいいものを、彼は顔を真っ赤にして私を見るので、思わず笑ってしまう。
不動に何か言われたか、少なからず挑発された様に見えたので、あいつの事は気にしなくていいと言うと微妙な顔をされた。
瞳子さんと見覚えのない人が話していたが、敵意は無さそうなので遠目から見ていた、内容も特別重要なものでもなく、飽きてしまったのでキャラバンの付近へと戻ることにした。
暫くしてから、瞳子さんが戻ってきた。
彼女を呼ぶと、ハッとした様に私を見る。
「貴方、影山に何もされてないの？」
「大丈夫です、彼も不動も良くしてくれた」
もう乾いた髪を弄り回す、パサついていて、あまりいい手触りではない、ほんのり潮の香りがした。
「そう…………それなら、いいのだけれど」
「ああ……そうだ、ひとつお願いがある」
何かしら、とは言わなかった。
きっと彼女も分かっているのだろう、話の流れで私は彼女たちと対決しなければならないこと。
負けたらまず死ぬこと、巻き込んでしまうこと。
彼女は数秒目を瞑ると、2回頷いて、
「……1週間、稲妻町に居るわ」
「わかった、それまでには」
「皆には家庭の事情とだけ伝えておきます、必ず無事で戻ってくること」
「ええ、分かっていますよ。
……私が牽制したので多少は大丈夫だと思うが、夜は危ない、どうか気をつけて」
頷く、私はそれを見て素早くキャラバンを離れた。
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作者名：久坂朧@三色団子と朧は神 | 作成日時：2020年9月17日 21時
