・ ページ29
不動side
「……お前、その格好は……」
「……？」
どう考えてもアウトだろ、と危うく口にしてしまうところだった。
黒のショート丈のタンクトップで、胸元は包帯がぐるぐる巻きにされていた、……おそらくサラシだろう、下は茶色のサルエルパンツだった。
当然お腹は出ており、その肌の白さに参ってしまう、自然と息が止まった。
服は殆どメンズだが、それに似合わない細い身体付き……俺何見てんだろう。
謎の背徳感に駆られて思わず周りを見渡した、こちらを見ているのは殆ど居らず、俺はタオルを彼女の体に隠す様にかけた。
「……どうかしたか？」
「いや、ウン……どうかしたって程でもねェんだけどさァ……」
「……翠、これ着とけ」
「？？
ああ、ありがとう……？」
彼女は不思議そうに風丸のジャージを受け取った、でも体は濡れているのでそのままどうする訳にも行かない……。
「……アンタさぁ、もうちょっとこう……ないの？」
「は、いや、これ以上何も思い浮かばなかったんだ……」
「……足長クン？」
「どうかしたか？」
「……女のコ、だよな？」
今まで気にしてなかったし、資料でも顔写真は少しブレてたが、彼女のものそのものだった、中性的な顔立ち……それでも綺麗なんだケド。
造形美、というのだろう、性別は本当に気にしてなかったが、これはダメだ。
小声で隣の彼がそう言うと、彼女は俺たちが何を言いたいのかようやく分かったようで、歯を見せてにっと笑うと人差し指を口元に当てて、
「中性的に見えるだろう、どっちだと思う」
「欲 情したから女の子で」
「え」
「えっ」
結構本気で言うと2人に引かれた、まあ嘘だけどと言うと、Aチャンはホッとしたように溜息を吐いた。
隣の彼を見ると何だか複雑な顔をしていた、……オイオイ、そんな目で見なくてもいいだろ……。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 36人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：久坂朧@三色団子と朧は神 | 作成日時：2020年9月17日 21時
