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「ここだ」
影山の部屋へと案内される、目の前には大きな扉があって荘厳な雰囲気だった。
彼には珍しく、何かあったら逃げろと、彼なりの良心を私に見せた。
目を見開く。
「総帥は容赦のねェ奴だ。
……アンタのことは気に入ってるからな、特別に忠告しといてやる」
さっきまでの皮肉が嘘みたいに彼を彩ったので思わずクスクスと笑ってしまった。
「んだよ……」
「いや、案外良い奴なのかと思ってな」
「うっせ」
彼は照れくさそうに頭を掻いた。
……なんだ、お前は、ただの少年だったのか。
「試合、お前も頑張って」
そう言って私は部屋へと入り込んだ、扉が開く、まあまあ早く開くその扉を見やって、数歩前に出る。
「Aourアメリカ支部、支部長の有栖川Aだ」
「フフ、よく来た。
座り給え、お前とは話がしたくてな」
「私には何も話すことは無いよ」
そう言うな、と彼は特有の笑みを浮かべた、私は目の前のテーブルに組織のロゴが入った拳銃を置いて、一応のところ敵意がないことを儀礼的に示す。
「早速だが。
私の元に来る気はないかね？」
「おっと、勧誘は控えてもらいたいな、それは最早私の一存で決められることではない。
既に特別諜報員の身だ、承認には長官の許可が居る」
依頼だって今は吉良瞳子と契約中だ、彼女の目標が達成されない限り私たちは彼女の元に付かなければならないからな。
「そうか、それは残念だ」
君の様な優秀な人材はそばに置いておきたかったのだがね、と話す彼にそう言って貰えると嬉しいと言う。
「世辞などではない、君の活躍には私も目を惹くものがある」
まあ、本題に入ろう、と彼は白い箱を見せた。
一見してジュエリーボックスの様で、そこら辺に売ってある様な何の変哲もないものだった、少々ホコリ被っていることを除いて。
「本当はロバートからの言いつけでね、君に渡す予定ではあるのだが」
ただ渡すだけではつまらないと、彼は何処からかチェス盤を取り出した。
先手を譲ると言われたので遠慮なく白い駒を布陣に置いた、モニターからは雷門と試合をする真帝国学園が流れていた。
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作者名：久坂朧@三色団子と朧は神 | 作成日時：2020年9月17日 21時
